2022年5月20日 (金)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第274回「携帯電話のリスク」

第185回(2005年11月)で、「携帯電話」を取り上げました。携帯電話の進化の速度は、きわめて速く、たった2年の間に、携帯電話が抱える問題の質も、大きく変わってきました。
第185回で取り上げたのは、“個対個”のコミュニケーション手段が集団としてのコミュニケーションを阻害するおそれがあるということでした。避けることのできない人間関係の中で、それぞれが“関わり合いの智恵”を絞ることで、築いてきたコミュニティー。そういったものが、携帯電話が生み出す“個対個”の人間関係によって破壊され、地域社会の存在が壊れようとしている。さらにそれが、引きこもりやニートという問題にもつながっている。というような内容でした。
ところが最近、携帯電話にまつわる問題は“個対個”のコミュニケーションの問題ではなく、ネット上に氾濫する様々な情報の取得あるいは情報の発信という問題になってきました。これまで、インターネットといえば、PCというのが一般的でしたが、最近では携帯電話(モバイルサイト)に取って代わられようとしています。インターネット上にホームページを持っている企業、店舗の多くはモバイルサイトにもページを持っています。うちですらカウンセリング、教育相談のモバイルサイトを持っていて、そのサイトから直接カウンセリングの予約ができるようになっています。
ここであらためて言うほどのことでもありませんが、モバイルの利点は、何と言っても双方向の情報のやり取りにあります。もちろんPCでも双方向の情報のやり取りは可能ですが、携帯電話はPCのように準備をして構えなくてはならないものと違い、常に持ち歩いていて、スタンバイ状態なので、情報が届いた瞬間にそれを確認することができます。しかも、その大きさから場所を問わず、どこでも簡単に使うことができるので、その情報のやり取りを秘密裏に行うことも簡単です。
9月2日朝日新聞朝刊に、携帯電話についてのアンケート結果が公表されていました。これは、朝日新聞の無料会員サイト「アスパラクラブ」が8月に行ったもので、10,936件の回答をもとにまとめたものだそうです。
それによると、はじめて携帯を持たせた年齢は、小学校入学前/1%、小学生/15.4%、中学生/24.6%、高校生になってから/38.3%、高校を卒業してから/20.8%(記事では小~中学生までは、学年ごとの統計になっています)。アンケート対象の年齢幅が広いため、かなり以前に子育てが終わった人の数字もカウントしていると思われ、そのために「高校生になってから」「高校を卒業してから」の割合が多くなっていると考えられます。もし、今小学生の子どもたちが成人したときにアンケートを実施したとしたら、「高校生になってから」「高校を卒業してから」の割合がかなり減るのではないかと思われます。年齢層を切ることによって、アンケートの数字はかなり違ってくるように思います。したがって、皆さんの感覚では、アンケートの数字よりかなり低年齢化が進んでいるという感覚ではないでしょうか。
子どもの携帯電話のメリット、デメリットの比較については、「メリットの方が大きいと感じている人」が41.6%、「デメリットの方が大きい」と感じている人が、26.9%、「わからない」が31.5%。この結果を見る限り、携帯電話に対する親の見方はかなり割れています。おそらく、親がどのように携帯電話を利用しているかによって、評価が割れていると思われます。
このアンケートで、私が最も注目したのは、「お子さんの携帯電話に“フィルタリング”をつけていますか?」という質問です。フィルタリング(携帯電話会社がオプションとして行っている有害サイトへのアクセス制限)がどの程度効果があるかについては、私は懐疑的(サイトとしての体裁をしていない有害な情報も氾濫しているから)な考えを持っていますが、「つけている」10.6%、「つけていない」58.6%、「わからない」17.9%、「フィルタリングについてよく知らない」12.9%という結果は、あまりにも無防備と言わざるを得ません。
私自身は、基本的な考え方として、子育て・教育における「制限」「規制」ということを好みませんので、もし今私に、小・中・高校生の子どもがいたとして、フィルタリングを利用するかと聞かれれば、答えは”ノー”です。が、それはあくまで、モバイルサイトの有害性(興味本位に走った誤った性情報や出会い系サイトなどの誘惑など)を理解した上での判断であって、有害サイトから子どもを守るには、それなりの知識を子どもに教える必要があります。それ無しに、子どもがモバイルサイトをすべて利用することは、大変リスキーなことです。けれども、アンケートの結果からすると、そこまでモバイルサイトの危険性を認識している人はそう多くはない。
山谷えり子氏が、首相補佐官に就任して以来、男女共同参画や性教育は大きく後退してしまい、学校ではほとんどまともなジェンダーに対する教育や性教育をしなくなってしまいました。ネット上に氾濫するいかがわしい性情報から、子どもたちを守る手段は、詰まるところ、正しい性の知識、性に対する感覚を子どもたちに、身につけてもらうしかありません。フィルタリングさえ、浸透しているとは言えない状況ですが、どんどん便利にそして危険になっていく携帯電話から、子どもたちを守り、さらにうまく利用していくためには、「フィルタリング」や「携帯電話の使い方」などという“規制”や“HOW TO” ばかりに頼るのではなく、子どもたちの持つ根本的な知識や意識から変えていく必要があるのはないでしょうか。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
10年以上前の内容なので、今では当てはまらない部分がほとんどかと思います。ここでいう“携帯電話”は、スマホではなく“ガラケイ”のことです。

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埼玉県の観光名所「ポピー・ハッピースクエア」

埼玉県には、けっこう日本一をうたった観光名所(いろいろな名所に行ってみると、この言い方はちょっと大げさな気もする)があります。

昨日は、仕事の帰りに少しだけ遠回りをして、埼玉県鴻巣市の「ポピー・ハッピースクエア」に寄ってきました。盛りをちょっと過ぎたところですかねえ (゚´Д`゚)

荒川河川敷へのゴミの不法投棄防止と「花のまちこうのす」をアピールする事を目的として、約125,000平方メートルの敷地に約3,000万本が栽培されている日本一広いポピー畑です。
 花の見頃となる5月には、市内外から多くの方が訪れる花の名所となっています。また、この花畑は「日本一の川幅」を誇る荒川の御成橋下に広がり、ここから望む富士山(富士見百景にも選定された)は絶景です。 鴻巣市のHPより)

 

ここを訪れるのは2回目で、とても綺麗でしたけれど、天気もいまいちだったこと、2度目ということもあり、感動が薄れた感じはします(笑)

雲間からちょっとだけ覗く夕日とポピーのコラボレーションは、充分感動に値しますけどね。

一部、ピンクの「ムギナデシコ」の畑もあります。

5月22日まで、「第12回こうのす花まつり」を開催しています。

 

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2021年11月21日 (日)

【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第185回「携帯電話のコミュニケーション」

2006年中にも携帯電話会社が3社増えることになるとか…。
これまでNTTドコモ、KDDI、ボーダフォンの3社の寡占状態にあった携帯電話市場に12年ぶりの新規参入で、どう展開していくのかなあ?
新たに参入するのは、BBモバイル、イー・モバイル、アイピーモバイルの3社だそうですが、データ通信の定額制など割安なサービス展開を目指しているらしく、今でもだいぶ下がりつつある携帯電話の料金がさらに下がりそうな気配ですね。
私が携帯電話を使い始めたのは、いつごろだったかなあ? もうはっきりは覚えていないなあ。でもかなり早い方で、今でこそ携帯といえば“090”で始まるんだけれど、私が初めて携帯を使い出したときは、確か“030”だった(?)んですよね。それが途中から”090”が頭に付くようになって”090-3×××-××××”ていう具合に“030”の“3”が“090”の後に付くことになったんです。だから、携帯電話の番号が“090-3×××-××××”っていう人がいると、始め携帯電話を使っていた人はほとんどが仕事上で利用していた人だったので、“この人は仕事上で携帯電話を使ってた人かな?”なんて想像しちゃう。
私が携帯端末(こういう言い方が適切なのかなあ?)に初めて出会ったのは、約27、8年前。そのころ私が勤務していた法律事務所のボスは運転手付きで仕事をしていたので、運転手にポケットベルを持たせていて、出かけるときになるとポケベルを鳴らして、運転手を呼んでいました。ポケベルの番号に電話をかけると”ピーピーピーピー”と音が鳴るだけの今から見れば単純なものですが、初めて見たときはビックリしました。それが呼び出した電話番号の違いにより音が変えられるようになり、さらにディスプレイ表示ができるようになったときは、使いやすさが格段に増しました。
子育て真っ直中だった私は、新しもの好きだったこともあり、ディスプレイ表示のポケベルに飛びつきました。妻と二人でポケベルを持ち合い、子どものことで相手に連絡することがあるときに使います。ちょうどそのころ高校生の間でもポケベルが流行りだし、ベルトモなんていう言葉ができたりして。数字しか表示できないころには、「0840(オハヨウ)」とか「0906(オクレル)」「3341(サミシイ)」こんな感じでコミュニケーションを取っていましたよね。それが文字を送れるようになって、オハヨウなら「*2*2 15 61 85 13」、オクレルなら「*2*2 15 23 94 93」、サミシイなら「*2*2 31 72 32 12」。
今ではすっかり“そんな時代もあったけなぁ”っていう感じ。
それまで大きなバッテリーを持ち歩かなければならなかった携帯電話(そのため携帯電話というよりは自動車電話というものがありました)が小型化し、その携帯電話の普及に火をつけたのは、やはりここでもベルトモを一大ブームにした女子高生でした。
携帯電話は、コミュニケーションの手段としてはかなり優れています。というより、ほとんど究極です。もちろん、さらに大容量の画像が送れるようになったり、インターネットへの接続がこれまで以上に高速で大容量になったり、クレジットカード機能が果たせたりと進化は続け、利便性は増すと思いますが、1対1のコミュニケーションが何処でも簡単にできるという点では、もうこれ以上は進みようがありません。
この連載の181回で、「主婦(主夫)の重要な役割は地域との関わり」ということを述べました。「関わり」というのは、自分がそこから出ることのできない関係(自分の居心地のいい、悪いに関係なくその場を立ち去ることができない関係)の中で出てくる問題です。もちろん人間は究極の選択として、誰にも会わずに一人で山奥に暮らすなんていうことも不可能ではないわけですが、そういった特殊なものは除いて、例えば“地域”“学校”“職場”などでの「関わり」は、”拒否ができない”あるいは”関わらなければならない”関わりです。もちろん、楽しいこともあれば辛いこともあります。けれどもこの関わりこそが、人間の成長には重要で、そこを通過しないと人間としての独り立ちができないし、社会生活も送れない。
そこで携帯電話なのですが、これはまさに“個対個”の関係を成立させてしまいました。しかも自分の気に入らない相手は拒否できる。とても恐ろしいことだなあと思います。「関わり合うということに知恵を絞らなくていい」状況が、多くのニートを生んでいるんだと思います。最近、朝のファミレスには明らかにニートであると思われる親子が何組もいます。うちの研究所にみえるクライエントの方にも、親子の関係ばかりを取っていて、社会との関わりが取れないクライエントの方が多くいます。自分のお気に入りの人としか関わらないという携帯電話社会が、まさに世の中にはびこっているわけで、このままいったらますますニートは増え続けるんだろうなあと思います。やはり重要なのは拒否のできない人間関係の中で、どう関わり合いの知恵を発揮していくかということにかかっているのでしょう。
携帯電話の利便性はしっかりと享受しつつ、携帯電話に人間が振り回されることのないようにしなくては…。

 

携帯電話の新規参入 12年ぶり、申請3社に容認の公算 料金下げ効果に期待
2005.11.08 東京夕刊 2頁 (全414字) 
 携帯電話への新規参入を総務省に申請しているソフトバンク子会社のBBモバイルなど3社が、そろって参入を認められる公算が大きくなった。同省は9日、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に3社の参入の是非を諮問し、異論がなければ即日、参入妥当とする答申が出される方向だ。

 総務省は答申に沿って免許を付与する方針で、2006年中にも新規事業者によるサービスが始まる。12年ぶりに新規参入が実現することになり、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンによる寡占状態にある携帯電話市場の活性化が進みそうだ。

 新規参入を巡っては、周波数1.7ギガ・ヘルツ帯でBBモバイルのほか、ADSL(非対称デジタル加入者線)大手イー・アクセス子会社のイー・モバイルが、2ギガ・ヘルツ帯では通信ベンチャーのアイピーモバイルが、それぞれ免許申請している。3社ともデータ通信の定額制など割安なサービス展開を目指しており、携帯電話の料金水準を引き下げる効果も期待されている。

読売新聞社

 

 

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

 

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