2022年6月11日 (土)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第282回「幸せのレシピ」

10月10日にパルコがオープンして、浦和の映画館が復活!
特に映画ファンというわけではないけれど、近くで簡単に映画が観られると思うと、ちょっと嬉しいです。
毎日、忙しい生活を余儀なくされているので、上映時間に合わせて、行き帰りの時間を含め3~4時間を確保するのは至難の業。パルコの中にユナイテッド・シネマが入ってくれたおかげで、シネマの入り口まで5分弱。「見たい映画に合わせて」というのはもちろんですけれど、「ちょっと時間が空いたから」という映画の見方が可能になりました。
子どものころから「映画は好き」という意識はありましたが、実際に映画を見たのは、中学、高校のころに、テレビの深夜番組で見たというのがほとんど。映画館で見たなんていうのは、学生だったころ「授業が休講になったから」観た経験くらいしかないので、「ちょっと時間が空いたから」なんていう映画の楽しみ方ができるというのは、私の人生の中で、とても画期的なことです。
20歳前後から子育てに追われていたので、喫茶店や映画館でデートなどというのは皆無。なんだか人生ががらっと変わったような(ちょっと大げさ?)気さえします。
というわけで、オープン翌日の11日に「エディット・ピアフ」、そして26日に「幸せのレシピ」を観てきました。
いやぁ、何年ぶりかで観た映画は、やっぱり楽しいですね。エディット・ピアフは、シャンソン歌手で、皆さんご存じの
♪あなたの 燃える手で あたしを抱きしめて♪(訳・岩谷時子)の「愛の讃歌」で有名ですね。テレビのコマーシャルでも、「愛の讃歌」が流れていたので、「愛の讃歌」を歌うシーンが出てくるのかなと思いきや「愛の讃歌」はたった2回(?)バックに流れるだけで、むしろ「La vie en rose」(ラヴィアンローズ)(タイトルからはわからない人が多いかもしれませんが、聞けば“この曲かぁ”ってなる有名な曲です。音が出ないので、うまく説明できなくてすみません。http://edith-piaf.narod.ru/piaf1950.html でダウンロードできます)の方が強く印象に残りました。この映画の見所は、たくさんありますが、子どものころのピアフの生活には、インパクトがありました。
「幸せのレシピ」は、完璧主義の料理長、ケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が、突然の姉の死により一緒に暮らすことになった9歳の姪ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)との関係を必死で作ろうとしていく中で、ケイトとは正反対な性格の陽気で自由奔放な副料理長、ニック・パーマー(アーロン・エッカート)と恋に落ちるというストーリー。
ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」をハリウッド・リメイクしたものです。
まったく意表を突くことのない真っ直ぐな展開で、楽に観られます。映画マニアの間では「ベタ」と言われて、あまり高い評価を得ていないようですが、私はとても楽しく観ました。
「子育て」から、とても遠いところで生きてきたケイトが、ゾーイとの関係を築いていこうとする中に、子育てのとても大事な部分を見た気がしました。高級レストランの料理長であるケイトは、自分の料理に対する価値観で、ゾーイに食事を作りますが、ゾーイはまったく口にしません。高級食材を使った一流の料理より、素朴で飾らない魚のフライやスパゲッティがいいのです。ケイトもニックとの関係の中でそれに気付いていきます。子どもの人格を認めること、大人の価値観を押しつけないこと、子どもの自主性を尊重すること…。様々な子育ての要素をこの映画中にはありました。
涙がこぼれそうになる場面もたくさんありましたが、オペラ好きなニックのおかげで、バックに流れるヴェルディの歌劇「椿姫」の「乾杯の歌」や1961年にトーケンズの歌で大ヒットした「ライオンは寝ている」などもとても楽しく聞けました。はまり過ぎていて、これも「ベタ」の一部なんだろうと思います。

もちろん子育ての映画ではありません。けれども、こんなところにも子育てのヒントはあるんですね。私はそんなところも気にしながら見ていましたけれど、こういう映画をそんなふうに見ていると、おもしろさも半減しちゃうかもしれませんが…。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

2022年6月 6日 (月)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第281回「鳥取県倉吉市から その2」

この道の駅は、1階が売店、2階がレストランになっています。
1階の売店には、よくあるお土産品、地場産の野菜や手作りのお菓子や味噌といったものの他、山陰の海らしい魚介類が、生けすで泳いでいました。
2階のレストランは、刺身定食、天ぷら定食など、海の幸中心のメニューです。
中に入ってメニューを見ながら注文をしようしたのですが、メニューに載っているのにないものばかり。いちいち口元に付けたマイクで厨房に確認しています。
結局「イカの刺身定食」に落ち着きました。
そんな有様でしたが、出てきた料理には大満足。見ただけで活きのよさがわかります。「要するに、その日によって捕れる魚が違うので、メニューはあってないようなもの」ということのようでした。

その晩は、三朝(みささ)温泉に泊まり、翌日の午前中、倉吉の町を散策しました。
倉吉という町は、けっして大きな都市ではありませんが、山名氏が最初に居城した地で、南総里見八犬伝の発祥の地でもあり、その歴史の重さを充分に感じることのできる町です。現在も打吹山(うつぶきやま)に城趾があります。
観光に大変力を入れており、「倉吉レトロ」をキャッチフレーズに、白壁土蔵群の保存に力を入れたり、「赤瓦」(あかがわら)と称する9つの建物で、様々な特色あるレトロなショップを展開しています。(http://www.apionet.or.jp/kankou/index.htm)
私が訪ねた日は、午前中ではありましたが、土曜日ということもあり、ちらほら観光客の姿も見受けられました。
「観光のお客様無料」と書かれた契約車両とのスペースが混在した未舗装の駐車場に車を止め、町のなかを散策しました。
ミニ鯛焼きを売っている店の前で、買おうか買うまいかと見ていると、店の主人らしき人が「どうぞ、試食してみて」と鯛焼きを差し出します。餡の種類が何種類もあるので、次から次へと違った種類の鯛焼きを試食させてくれました。
「今買っちゃうと、持って歩かなきゃならないので帰りに寄ります」と約束し、さらに町の散策を続けていると、醤油を製造販売しているところを見つけました。
中に入るとセンサーで「ピンポン、ピンポン」と音がしました。ところが、しばらく待っても人が出てくる気配がありません。再び入り口付近まで下がって「ピンポン、ピンポン」。
店に並んだ商品を見ながら、どれくらい経ったでしょうか。まったく出てくる気配がありません。「すいませーん!」店の奥に向かって声をかけましたが、なんの返事もありません。
「誰もいないのかねえ? これじゃあ、盗まれてもわからないよねぇ」
再び、「ピンポン、ピンポン」。ようやく、おばさんが奥から出てきましたが、まるでスローモーションを見ているよう。
なんとか、薄口醤油を買って、再び散策。
今度は、造り酒屋があったので、時季外れとは思ったのですが、酒粕を買いたいと店の中へ。
ところが、またまた、誰も出てきません。ここでもどれくらいの時間が経ったでしょうか。何度も何度も店の奥に向かって声をかけ、ようやくおばあさんが出てきました。
「今は漬物用しかないんですよ」
その返事を聞くために、どれくらいの時間を要したか…。
道を歩いていると、車庫から車が出てきました。のろのろしているわけではないのでしょうが、とにかくもたもたしています。じっと待って、車を先に出してやりました。
もし、東京やさいたまでこんなことが起こったら、腹が立ってしようがないのでしょうが、不思議とこの倉吉では腹が立たちません。それどころか「倉吉っていいところだなあ」、そんな気持ちが湧いてきました。
午後からは講演です。翔誕生の出産ビデオ「素敵なお産をありがとう」を見てもらい、その後私が30分、妻が30分話をしました。私の話は、ほぼいつも「それぞれの違いは違いとして認めること、そしてその違いを乗り越えるため時間と体験を共有すること、主夫としてこれまで私がやってきたこと」、そんな話が中心です。ところがこの日は、「倉吉っていいところですね。午前中に町のなかを探索したら、醤油屋さんで…」。そんな話をしているうちにあっという間に30分が経ってしまいました。講演が終わると妻が、
「あなたの話、いつもと全然違うから、どうフォローしようか困っちゃったじゃない!」
講演会後、主催者の皆さんと喫茶店で1時間ほどお話をしました。講演の時よりも詳しく醤油屋さんの話をすると、みんな大声で笑いました。
酒屋さんの話をすると、さらに大笑い。皆さんが言うには、「倉吉ってそんなところですよ。のんびりしていて。ちょっと出かけるのに鍵なんてかけませんから。悪い人なんていません」。
その話を聞いて、倉吉という町が、なぜ私の心をくすぐったかがわかりました。今では、なかなか感じることのできなくなった「人を信じるという心がここにはあるからだ」そんな気がしました。
講演会の前に控え室を訪ねてくださった倉吉市の教育長さんもとても腰の低い方でした。その腰の低さも「市民を信じる」そんなところにあるのかなあと思います。
「倉吉ってのんびりしていて、ぎすぎすしていない、すごく住みやすいところじゃないですか?」
「ええ、とっても住みやすいところです。なんにもないですけどね」
「なんにもない?とんでもないですよ、歴史と文化があるじゃないですか、そして何よりも地域社会が崩壊していない。貴重なところだと思いますよ」
こんなところで子育てをしたら、子どもはずいぶんのびのび育つんだろうなあと、強く感じる2日間でした。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第280回「鳥取県倉吉市から その1」

今日は、倉吉に来ています。
倉吉と言えば、つい先日市長が、舛添厚労大臣に一首長の立場で噛みついたところ。地方のそれほど大きくない、けれども歴史のある個性を持った町が、さいたま市のような首都圏のそれほどはっきりとした特徴のない大都市とどう違うのか、ほんの短い時間ではありましたが、観光地や倉吉の町のなかを散策したり、また教育長さんとお話をさせていただいたり、PTA連合会でご活躍の皆さんと交流させていただいたりしましたので、鳥取というところ、倉吉というところで、私が感じた文化の違い、子どもとの関わりの違いを2回にわたって、皆さんにお伝えしたいと思います。

少し前のことになりますが、月刊「教育ジャーナル」(学研)に、映画「あしたの私のつくり方」の原作者、真戸香さんと妻との対談が載りました。それをご覧になった教頭先生の推薦で、倉吉市のPTA連合会の方々が中心となり、講演会にお招きいただきました。
当初、カウンセラーとしての妻への講演依頼でした。子育てについてのスキルを主な内容とした講演会というお話だったのですが、幅広い年齢層のお子さんを持つ方が対象とのことでした。
子育てについてのスキルを中心に据えると、どうしてもある程度年齢層の絞り込みをしなくてはならないので、むしろ映画「素敵なお産をありがとう」の上映と私と妻の話ということではどうですかとこちらからご提案をさせていただき、上映会と講演という形で、行うことになりました。
担当の方から、丁寧に飛行機の時間までメモでお送りいただいたのですが、私の身体の関係(気圧が急に下がると、座席にも真っ直ぐ座っていられないくらい目が回って、汗が噴き出し、吐き気がする)で、飛行機には乗れないので、車で向かうことにしました。運転はちょっと大変ですが、自由に動き回れるので、初めての山陰で、見てみたいところもたくさんありましたし、その土地の人たちと交流のできることを、とても楽しみにしていました。
800キロ近い距離なので、10時間以上はかかります。昨年車で行った北九州に比べればかなり近いとは言え、朝出ても夜になってしまう距離。鳥取砂丘も行ってみたいし、大山(だいせん)、出雲大社にも行ってみたい。近くに多くの有名な美術館もある。
朝、3時くらいに家を出て、お昼過ぎには鳥取砂丘にという計画でしたが、それでは砂丘以外を見て回る余裕はなさそうだったので、前の晩仕事から帰ると、「このまま出ちゃおうか」ということになり、夜11時に家を出ました。
わかっていたこととは言え、東名高速道路の集中工事のためかなり長い区間が一車線通行になっており、予定通りには行きません。中央高速にすればよかったと悔いても後の祭り。早く出たにもかかわらず、結局出雲大社と大山は次の機会にということになってしまいました。
鳥取砂丘を初めて訪れた人の感想は様々だと思います。期待はずれとがっかりする人、期待通りと思う人、期待以上と感動する人…。
私は、だいたい期待通りでしたけれど、予想以上に感動したかな。
砂の色、砂の感触、そして何よりも砂と海と空とが織りなすコントラスト。思わず走り出したくなるような高揚感…。
広い砂丘の上に靴を置き去りにして、裸足で頂上まで登りました。そして目の前に広がる大きな海。
周りにいる人たちも、すっかり子どもに返ったようでした。ただ、残念だったのは、砂丘にとてつもなく大きな落書きがあったことです。
少し前にニュースでも取り上げていましたが、砂丘の持つ価値、公共性を無視したとても悲しい行為だと感じました。
陶芸教室の生徒さんから、「砂丘にいるラクダと並んで写真を撮ろうとしたら、乗ろうとしたわけじゃないのにお金を要求された」という話を聞いていたので、「本当かよ?」と思いましたが、それも想定してラクダにはあまり近づかず、遠くの方から写真を撮りました(笑)
売店で、孫に買うおみやげをあれこれ選びながら、「この砂時計(砂丘の砂が入っている)、どうかな?」と妻と話をしていると、まだ決めたわけでもないのに、売店のおばさんがすでに包装紙に包みかかっていたのにはビックリ。
「なるほど。ラクダの写真は遠くからにしといてよかった!」と納得がいきました。
そして、もう1カ所立ち寄ったのが、あの大黒様とワニ鮫に皮を剥がれてしまった因幡の白ウサギの話で有名な白兎海岸です。海岸に面して道の駅があり、その道の駅から山側には白兎神社があります。昼食をこの道の駅で取ることになりました。

つづく

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第279回「子どもの声は騒音か」

西東京市の「西東京いこいの森公園」の近くに住む女性が、噴水で遊ぶ子どもの歓声やスケートボードの音がうるさいとして、公園を管理する市に騒音差し止めの仮処分を申請した事件で、東京地裁八王子支部が、女性の訴えを認める決定を出しました。都環境確保条例の騒音規制では、この地域の午前8時~午後7時の基準値を静かな事務所内に相当する50デシベルと定めているんだとか。そんな基準を子どもが遊ぶ公園に当てはめようとするのはとても無理な話です。
心臓などの病気療養中で、「子どもの声などで精神的な苦痛を受け、不眠に悩んでいる」と訴えていた女性に対し、市は「基準は超えても受忍限度を超える騒音には当たらない」と主張したそうです。

この公園は、旧東大原子核研究所の跡地を利用して、2005年4月に市が開設したもので、敷地面積は4万4000平方メートル、噴水は遊具などが置かれた広場の中にあって、複数の噴水口から水が断続的に噴き出す仕組みで、水の間を縫って遊べるようになっています。こういった公園の状況を想像しただけで「キャーキャー」はしゃぐ、子どもの声が聞こえてくるようです。
司法は、公共の福祉論を展開し、個人の権利(特に土地所有権などにおいては)を制限的に解釈する場合が多いように思うのですが、子どもの遊ぶ権利については、公共の福祉論を展開せず、かなり制限的に法解釈をするということのようですね。もちろん、裁判官によっても、違いがあるわけですが…。
とは言え、公共の福祉に鑑み、女性の権利が認められなくてもいいのかと言えば、それも違います。私の立場は、常に「何をおいても子ども優先」の立場なので、「なにも子どもの声くらいで…」という気持ちも強いのですが、条例という根拠があるわけだから、女性が訴える正当性もあるわけです。(女性側が勝っているわけだから、当然ですが)
ここで考えなくてはいけないのは、「もし、基準となる条例がなかったらどうだったか」ということです。私は、おそらく、女性が訴えを起こしていなかったのではないかと思います。
万一、訴えを起こしたとしても、条例がないことで、騒音の基準が曖昧だったとすれば、市が主張する「受忍限度を超える騒音には当たらない」という主張が裁判官に受け入れられる可能性がかなり高くなってきます。そうなった場合には、おそらく今回の結果とは逆の決定が下っていたのではないでしょうか。
今回の事件で、私が一番問題だと感じたのは、2つの行政の無責任さです。
その1つは、ただ単に住宅街だということで単純に決められたと思われる都環境保全条例の50デシベルという騒音基準。
2つ目は、環境保全条例があるにもかかわらず、なんの対策も講じることなく作られた公園。
裁判所も、「騒音は受忍限度を超えている。設計段階から騒音は予測できたのに対策をとらず、配慮が全く欠如している」と市の姿勢を批判して、決定を下しているのです。そういう意味では、子どもたちの遊ぶ権利は「行政の怠慢の犠牲になった」とも言えなくもありません。
多くの子どもが遊ぶような住環境で、50デシベルという基準が適切か。もし適切であるとすれば、子どもが遊ぶ権利を都はどう保障するのか。
また「設計段階から騒音は予測できた」ということですから、噴水を住宅に影響のないところに設置するとか、最も近い住宅との間に防音壁の役目をするような遊具なり、トイレのような建物の設置をするといった対策を、西東京市はなぜとらなかったのか。
子どもの権利という公共性と女性個人の権利とのバランスをどう取るかということはもちろんのこと、少子高齢化が大きな問題となっているにもかかわらず、産婦人科、小児科医療に対する無策が問題になっている今日、子どもの権利に対するあまりにもお粗末な行政の対応が明らかになった事件でした。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第278回「子どもを信用するということ その2」

ポニー乗馬コーナーを離れようとすると、大きなカメを持ったお姉さんがやってきました。かなり重そうです。甲羅の直径は、50~60㎝はあるでしょうか。甲羅の脇に手をあてがって、やっとの思いで腰の辺りにぶら下げ、おっちらやっこら持っているという感じ。
そしてそのカメを、高さ1mくらいの木の柵で囲まれた10畳ほどの細長いスペースに入れると、今度はどこからともなく草のいっぱい入ったバケツを持ってきて、小学生の女の子を従え、柵の中に入っていきました。
「××さん、今度はお食事ね。この草をカメにやってね」
(ああ、そう言うことね。この草って、カメのエサなんだぁ)
お姉さんはそう言うと、まず自分でカメにエサをやって見せました。そして、小学生の女の子がそれに続き、エサをやっています。
その光景をずっと見ていたので、気づかなかったのですが、いつの間にか柵の周りには、小学生の女の子のお父さん・お母さんらしき人と、おじいちゃん・おばあちゃんらしき人がカメラを構えて立っていました。その後ろには、「副園長」というプレートをつけた男の人も立っていました。
「カメって、こんな草を食べるんですね」
私が、カメを抱えてきた動物園の係らしいお姉さんに声をかけると、
「ええ。このカメは陸に住んでいるカメで、こういう草も食べるんです」
と答え、柵の中でその大きなカメの背中に今にも乗りそうなくらいの勢いで、まったく怖がることもなく、平然とエサをやっている小学生の女の子を不思議そうに見ていた私たちに対し、
「今、この子が甲羅をタワシで洗ってくれたんです。今日は、この子が一日このカメの面倒を見てくれるんですよ」
と言いました。
「へぇーっ?!」
私たちが、びっくりしたような顔をすると、
「この子はイベントの当選者なんですよ。この子の“願いごと”が、カメの世話をすることだったので、今日は一日カメの世話をしてもらっているんです」
と続けました。
「へぇーっ?!」
こんなところ(公立の動物園)が、イベントの当選者に『豪華(?)賞品』を出すということに、まずびっくりして、そして目の前のとってもおとなしそうな小学生の女の子が、その『豪華賞品』に「カメの世話」を選ぶとは!
エサをやり終わった女の子とカメは、お父さんカメラマンとおじいちゃんカメラマンのモデルになって、たくさん写真を撮ってもらっていました。
次に、回ったのは「なかよしコーナー」です。ここには、どこの動物園でも触れ合うことのできるモルモットやウサギといった小動物がたくさんいます。そして、ここもまたカブトやクワガタと同じように、たくさんの子どもや大人に囲まれた台の上にモルモットやウサギが無造作にたくさん放されています。
係の人はそれぞれの台に一人ずつ。どう見ても、子どもたちすべてを管理するには、人数が足りません。
「勝手に抱いちゃっていいのかなあ?」
「自由に」ということに慣れていない私たち大人は、係員によって管理をされないといろいろな場面で躊躇します。
子どもたちは、とても順応性が高く、すぐその雰囲気を察知するのか、どんどん自由にいろいろな動物をだっこしていました。
ここは、基本的に子どもたちがいたずらや悪いことをしないという前提で運営されているということが、伝わってきます。
動物園にいる間、禁止や注意をする職員の声を一度も聞きませんでした。そして、子どもたちもそれに応えて、とても丁寧に動物を扱っています。「子どもを信用すること」、そういうところから子どもたちの優しい心は生まれるんだということを目の前で見た気がしました。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第277回「子どもを信用するということ その1」

「ああ、疲れたぁ! これって仕事で疲れてるわけじゃないよね?」
「たぶん、違うんじゃない?!」
「そうだよね、足とかだるいもんね」
「あそこ行くと疲れるんだよ、広いから。坂ばっかりだしね」
「やっぱり、年寄りにはきついかな? 若いうちじゃないと全部一日で回るなんて無理だね」

ちょうど昨年、第229回で扱った「埼玉県子ども動物自然公園」に再び行って来ました。昨年も9月25日にその話題をアップしてもらったのですが、今年再び9月25日のアップになるとは…。

今日(24日)は、午後から東松山の浄土真宗・西照寺で、本堂建立の記念講演に妻が講師として招かれていたので、そのついでに午前中は、孫たちを「子ども動物自然公園」に連れて行くことになりました。午前中は、私と妻が孫の面倒を見、その間、娘の麻耶が講演会の資料作成をしてくれることに。9時過ぎに、私たちは「子ども動物自然公園」に向かいました。麻耶も資料作成が終わり次第、公園に向かい、お昼前には麻耶に子どもたちを引き渡す計画です。
天気はあまりはっきりしませんでしたが、3連休ということもあってか、車はやや多め。それでも、渋滞というほどのことはなく、途中、三芳のパーキングエリアに寄りましたが、家を出て1時間ほどした10時過ぎには、公園に着きました。麻耶との交代までは、おおよそ1時間半。園内をゆっくり見て回る余裕はないので、入り口近くで開催されている昆虫展、ポニー乗馬コーナー、なかよしコーナー、乳牛コーナーに絞って回ることにしました。
まず最初に行ったのは、昆虫展です。孫の蓮(れん)は、家を出る前から昆虫を見たがっていて、以前「森林公園」でカブト虫を見たことがあったので、「子ども動物自然公園」よりはむしろ森林公園に行きたがっていました。今日は時間的に余裕がないこともあり、「森林公園」はやめ、蓮を説得して「子ども動物自然公園」に行ったのでしたが、偶然開催されていた昆虫展のおかげで、蓮も大満足の結果になりました。
昆虫展の会場には、世界各国から集めたカブトやクワガタがいます。もちろんケースに入っているのですが、一部の場所では生きているカブト虫やクワガタに触ることができます。私たちが、会場に入っていくとTシャツを着た小学3年生くらいの男の子がわざわざ寄ってきて、嬉しそうに室内を眺めている蓮に、
「あっちで生きてるやつに触れるよ」
と教えてくれました。あまりにも珍しい(私にとってだけかもしれません。蓮は名前をよく知っていました)虫たちが、とても無造作に置いてあるので、近くにいた係のお兄さんに、
「これ、こんなに子どもたちが触って死なないんですか?」
と聞いてみると、
「ええ、大丈夫ですよ」
という答えが返ってきました。
その、お兄さんの様子を見ていると、台の上に放されたカブトやクワガタたちには、ほとんど意識がいっていません。虫たちを興味深そうに眺めたり、触ったりしている子どもたちにすべてを任せているのです。蓮も、納得のいくまで自分のお気に入りのカブトやクワガタに触って、大満足で昆虫展の会場を出ました。
ポニー乗馬コーナーでは、乗ると言ってチケットを買った沙羅(さら)が、ポニーにまたがるための台のところで立ち往生。そこでポニーを引いてくれているお姉さんは、沙羅の様子を見て無理に乗せることはせず、かなり長い間、黙って待っていてくれました。そして、もう1頭の小さいポニーを連れてきて、檻越しに顔を出させ、触らせてくれようとしました。
「こっちのポニーさんとお友だちになろうか?」
そう言われても、沙羅はポニーの顔を撫でることもできません。沙羅は、手にしっかりとチケットを握りしめてはいるので、乗る気はあるようなのですが、どうも恐怖心が取り除けないようで、結局ポニーに乗ることは断念。もうすでに一度乗った蓮が、沙羅の分も乗ることになりました。

つづく

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

2022年5月20日 (金)

埼玉県の観光名所「ポピー・ハッピースクエア」

埼玉県には、けっこう日本一をうたった観光名所(いろいろな名所に行ってみると、この言い方はちょっと大げさな気もする)があります。

昨日は、仕事の帰りに少しだけ遠回りをして、埼玉県鴻巣市の「ポピー・ハッピースクエア」に寄ってきました。盛りをちょっと過ぎたところですかねえ (゚´Д`゚)

荒川河川敷へのゴミの不法投棄防止と「花のまちこうのす」をアピールする事を目的として、約125,000平方メートルの敷地に約3,000万本が栽培されている日本一広いポピー畑です。
 花の見頃となる5月には、市内外から多くの方が訪れる花の名所となっています。また、この花畑は「日本一の川幅」を誇る荒川の御成橋下に広がり、ここから望む富士山(富士見百景にも選定された)は絶景です。 鴻巣市のHPより)

 

ここを訪れるのは2回目で、とても綺麗でしたけれど、天気もいまいちだったこと、2度目ということもあり、感動が薄れた感じはします(笑)

雲間からちょっとだけ覗く夕日とポピーのコラボレーションは、充分感動に値しますけどね。

一部、ピンクの「ムギナデシコ」の畑もあります。

5月22日まで、「第12回こうのす花まつり」を開催しています。

 

Img_0206 Img_0187  Img_0175re Img_0173re Img_0232 Img_0236  

 

 

 

| | | コメント (0)

2022年4月29日 (金)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第265回「曾孫の威力 前編」

一昨年の義父、昨年の義母に続いて、今年は私の実父が危うい状況になってきてしまいました。義父は93歳、義母は90歳。それに比べて父は79歳なのでいかにも早い気がしますが、どうもお酒がたたっているようです。若いころには一升酒は当たり前。多いときには一晩で2升くらい飲んだこともありました。とにかくお酒の好きな父です。
一時、軽い糖尿病を患ったり、腹膜炎を起こしてみぞおちから下腹部まで大きくメスを入れたり、そうかと思うと大腸癌で大腸を30センチほど切除したり…。それでも、お酒はやめませんでした。
「酒が飲めないくらいなら、死んだ方がましだ」
それが父の口癖です。
一昨年の秋、父と母を福島の温泉へ連れて行ったことがありました。参加者は、私と妻、それに孫(父と母にとっては曾孫)の蓮(れん)と沙羅(さら)です。午後3時のチェックインに合わせて宿に到着し、部屋に入るといきなり、
「おい、酒頼んでくれ!」
“いきなりかよぉ”と思いつつもフロントへ電話をかけると、
「申し訳ありません。冷蔵庫のお飲み物の他は、お部屋にはお持ちしておりません。もしよろしければ、おみやげ売り場には冷酒用のお酒も取り揃えてございますので、それをお買い求めいただき、お部屋で召し上がっていただければと思いますが…」
結局、妻がおみやげ売り場で4合瓶の冷酒を買い、それを父に渡すとあっという間に空けてしまいました。2時間ほどして食事になると、さらにお銚子2本を頼み、それもすぐに空。若いころのようには飲めなくなっている上、テンポも速過ぎたのか、他のお客もいる広間で、大の字になって歌まで歌い出す始末。なんとか部屋まで連れ戻しましたが、そこでも大の字になって歌。食事どころではなく、結局、私も妻も何も食べられませんでした。
そんな父ですから、お酒がたたるのも無理はありません。昨年痴呆の傾向が強くなり、市の相談会を訪ねると、
「うーん、アルコール性の脳萎縮症だな」と医師から言われてしまいました。
父に対しては、2つの大きな問題がありました。一つは車の運転。もう一つは、もちろん毎日飲むお酒をどうやめさせるかということでした。けれども、どちらも大きなリスクを伴います。それは、痴呆が進み始め、身体も弱りつつある父から、その二つを取り上げたときに、父の生に対する意欲はどうなるのだろうということです。
昨年秋まで車の運転をしていた父から、車を取り上げるのは至難の業でしたが、父が家の中でキーをなくしてしまったことをきっかけに、車はうまく取り上げられました。毎晩、家の前にある居酒屋でお銚子2本飲んでくる習慣は、誰かれかまわずデジカメを向けてしまうことから他の客とトラブルになったり、お酒が入るとひどくよだれを垂らしたりすることから、お店の方から「お客が減ってしまって」という話をされて、「俺があんなに世話をしてやったのにふざけるな! あんな店にはもう行かん!」とカンカンに怒って、それもなんとかやめさせることができました。
けれども思った通り、その二つのことがなくなってしまった父は、まるで抜け殻のようになってしまいました。社会との関わりの窓口を失ってしまうということは、人間にとっては「生きる」ということそのものを失ってしまうことなのです。
そんな中で、父の「生きる」意欲をかろうじてつないでいるのは、曾孫の存在です。
人間にとって、「生」をつなぐということが、どれほど「生きる」という意欲につながっているのか、そのことを実感する毎日が続いています。

つづく

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第257回「人、人、人のゴールデンウィーク」

やってきましたゴールデンウィーク!
カウンセリングはもちろん、陶芸教室も祝祭日しか休みがないので、ゴールデンウィークは数少ない連休です。お盆と年末年始は一応連休にはしてありますが、お盆と年末年始というのは、仕事は休みとはいえ、実家に顔を出して、墓参りに行かなきゃいけない、年末年始のあいさつをしなくちゃいけない、年賀状は書かなくちゃいけない、と決まった“お仕事”があるので、実際休みといった実感がない。そういう意味では、私にとっての連休というのは、一年で唯一、ゴールデンウィークなんです。
昨年までは、5月3日の憲法記念日が、義母の誕生日ということもあって、義母を連れて県北のあまり混むことのない観光地(昨年は、本庄市児玉町にある長泉寺の「骨波田の藤」を見てきました)をウロウロとしていたのですが、義母が亡くなった今年は、孫を連れてさいたま市周辺をウロウロ。潮干狩りにも出かけました。
妻の方の両親の介護がなくなったと思ったら、そろそろ私の方の両親の介護が必要となり、ここのところずっと私の実家に泊まりっぱなしなんですが、昼間はなんとか孫と遊ぶことができました。
5月3日は、岩槻方面へ「カエル取り」、そしてそのあと見沼自然公園へ。4日は富津へ潮干狩り。5日は再びさいたま市、大崎公園へ。ざっと、こんな具合。
いやぁ、何年ぶりかで人混みの中で過ごしたゴールデンウィーク。
3日は人混みを避けていたので、「ゴールデンウィークだってこんなもんだよ」と高をくくっていたのですが、4日の潮干狩りは半端じゃない。「これでほんとの行き着くの?」って感じ。インターネットで調べたら、正午前が干潮のピークだっていうことだったので、9時過ぎくらいに富津に着くように出かけて、潮が引き始めたらすぐ潮を追うように海に入って、潮が引ききったあたりで、帰ってくる。まあ、そんな予定でした。ところが、実家に泊まっていることもあり、どうも予定通りに事が運ばない。熊手やビーチサンダルはもちろん、着替えの用意も持たなければならないので、一旦自宅に戻り、結局自宅を出たのが8時近くになってしまいました。当初の予定では、7時くらいに出る予定だったので、この時点ですでに1時間遅れ。これが大誤算で、首都高から大渋滞。高速川口線に入った途端、「葛西まで断続27キロ」の文字。完全に止まってしまうということはほとんどなく、なんとかそこは1時間ちょっとでクリアしたものの、京葉道路に入るところで、「穴川まで4キロ80分」の文字。
「これじゃあ干潮の間に着けないかも…」
仕方なく、京葉道路をあえて通り過ぎ、千葉北インターから一般道に出て、大きく迂回しもう一度高速道路に入り直すということに。それでも、さらにその先の館山道まで渋滞は続き、朝食を食べるつもりだった市原のサービスエリアには混雑で入ることもできず、結局富津まで直行ということになってしまいました。
潮干狩り場のトイレはいっぱいで汚いだろうと予測して、手前のコンビニに入りましたが、そこもでもトイレを待つ人がかなりいて、なんとか孫たちをトイレには入れたものの、かなりのタイムロス。
さらにさらに、「ぎりぎり干潮には間に合った!」と思いきや、潮干狩り場の手前1キロくらいのところから、駐車場に入る車の大行列。
もちろん、潮干狩り場もすごい人でした。駐車場から眺めた海は、人でいっぱい。まったく砂なんて見えません。遠くから眺めていると、蜂の巣の中で働き蜂が折り重なってウジョウジョと動いている光景を思い出しました。それでもなんとか潮干狩りはできたのですが、2時過ぎくらいには帰ってくる予定が、帰りも渋滞で、とうとう7時になってしまいました。
5日の大崎公園も、農業祭でかなりの人出。孫たちが大好きな遊具には小学生が群がり、幼児が遊べるような状況ではありません。そんな中でも、起震車の体験をし、白バイにまたがり、消防車のホースを握り、それなりに楽しい時間を過ごして帰ってきました。かなり長い間、「混雑するゴールデンウィーク」というのを経験していなかったので、「いつもみんなこんな体験をしていたんだぁ」と今さらながら、感心(?)しました。
妻が、
「潮干狩りに行ったときも、大崎公園でも感じたんだけど、子どもたちは別として、どの家族もみんな大人は楽しそうな顔してないね」
と言いました。そう言われてみると、確かに私たちが最近いろいろな行楽地で出逢う大人の人たちと比べて、楽しそうではないように感じます。
「たぶんね、最近行楽地で見かけるのは、リタイアした夫婦がほとんどでしょ。そういう人たちは、旅行を楽しみにきているっていう感じなんだろうけど、ゴールデンウィークのお父さんやお母さんたちにとっては、家族サービスっていう仕事なんだよ、きっと。ほんとは家でのんびりしたいんだろうけど、“ゴールデンウィークくらいは”って、人混みと戦ってるんじゃないのかなあ」
そんな話をしながらそれなりに人混みを楽しんで過ごしたゴールデンウィークでした。


※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

2022年2月 1日 (火)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第247回「穏やかな春の風景」

「麻耶(まや)に電話してよ。こんな日のこんな時間に来たってダメだと思ったよ。この車の列。20台くらい並んでるでしょ?」
妻が助手席で麻耶の携帯に電話をしました。
「駐車場に入るのに凄い車の列だけど、どうする? 今、列のところを通過しちゃったんだけど、どうしてもグリーンセンターがよければ、戻るよ」
妻の携帯から時折漏れる麻耶の声は、別にグリーンセンターに固執しているわけではない様子。携帯電話での妻と麻耶の会話に聞き耳を立てながら、ゆっくりと車を走らせ、グリーンセンターから離れました。
「麻耶はどこでもいいってよ。列に並んでまで、グリーセンターでスケートにこだわってないって」
2月12日の振り替え休日、笠間での穴窯焼成(第246回参照)に5日間を見ていたのが、たまたま温度上昇がうまくいき、4日間で済んだために生まれた私の休日。孫の蓮(れん)と沙羅(さら)が、アイススケートをやりたがったので、川口グリーンセンターに向かいました。グリーンセンターでのスケートは、未就学児の入場には、原則子ども一人に対し、大人一人の付添が必要です。前回初めてスケートのためにグリーンセンターを訪れたとき、麻耶が一人で蓮と沙羅を連れてきてしまったので、入場してから(原則は子ども一人に大人一人ということになってはいるらしいのですが、このときは何も言われずに入場はできたんだそうです)わざわざ翔(かける)を呼んだということがあったので、めずらしく私と妻そして翔までが一緒に出かけられたこの日は、麻耶一人では連れて行くことができないグリーンセンターでのスケートということになったのです。
「蓮くん、沙羅ちゃん、グリーンセンターは混んでるから、今日は大崎公園(さいたま市(旧浦和)郊外の市立公園)に行ってみよう!」
「うん!」
蓮と沙羅の元気な返事が、後ろの座席から返ってきました。暖冬のためか、すでにいろいろな花が楽しめる今年は、遊具有り、花有りのグリーンセンターのようなところは、小さい子ども連れから年配の人たちまでもが押し寄せるので、混んでいるのは当たり前。ちょっと見通しが甘かったようでした。
妻は、大崎公園も混んでいるのではと心配していましたが、さすがにグリーンセンターとは違い、すぐに車も止めることができました。
蓮と沙羅のお目当ては、有料の遊具。真っ先に二人乗りの足こぎのモノレールとバッテリカーのところへ向かいます。たまたま足こぎのモノレールには列がなく、すぐに乗ることができました。
「バッテリーカーは、どこに並ぶのかなあ?」
「並ばなくてもいいみたいよ。ほら、あの子みたいに自分の乗りたいやつを狙ってて、空いたら急いで走っていって乗ればいいみたい」
「取りっこになっちゃたりしないように、列を作った方がいいんじゃないの?」
「それほど混んでるって判断してないんじゃないの、係のおじいさんたち。待ってる子のことは気にしないで、乗ってる子たちに注意がいってるもん」
シルバーの人たちが整理に当たっていましたが、周りで待っている子どもたちにはまったく意識がいっていない様子。でも、しばらく見ていても、取りっこになっている様子もなく、みんな適当にそれぞれが目指す車に乗っています。パトカー有り、消防車有り、二輪車有り…。ここの周りで子どもに付き添っているのは、お父さんが多いのですが、どうやらお父さんたちが取りっこにならないよう、子どもの気持ちをうまく抑えているようなのです。
「たっくん、ほら待ってる人がいるんだから、早くどいてあげようね」
「マーちゃん、あの車はあの子が乗りたいんだよ。こっちの車に乗ろうね」
まったく大人の怒鳴り声もなく、子どものぐずる声もなく…。
バッテリーカーに何度も何度も乗ったあとは、隣の遊具へ。ジャングルジム有り、滑り台有りの遊具です。私がベンチに座って、子どもたちの遊ぶ様子を見ていると、
自分の子どもがケガをしないように見ているお父さん、お母さんたちが、ここでも他の子どもたちに気を遣って、
「順番だよ。一度やったら、後ろに並ぼうね」
「小さい子がそばにいるんだから、乱暴に遊んじゃダメだよ」
と自分の子どもに注意を与えていました。
「最近の若い親」という言われ方をしている若いお父さんやお母さんたち。いやいや、とんでもない。一生懸命いい子育てしてるじゃないの。日本の未来も捨てたもんじゃないかな。それに比べて、最近の政治家は…。
子どもを育てるお父さんやお母さんたちの優しい心に、ほのぼのとさせられた久しぶりの休日でした。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

| | | コメント (0)

より以前の記事一覧