【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第283回「興毅と大毅、藍とさくら」
亀田親子のことがこれほど大きくなるとは…。
揺れに揺れた大相撲問題もどこへやら。すっかり影が薄くなって、そのかわりに亀田大毅と内藤大介の世界タイトルマッチ問題が大きな問題になっています。
2005年7月1日、野村克也楽天監督(当時はシダックス監督)の古稀を祝うパーティが赤坂プリンスホテルで開催されたとき、たまたま私も出席させていただいていて、そこに来ていた亀田興毅を間近に見ました。パーティには、中曽根康弘氏をはじめ、亀井静香氏、中川秀直氏などの政治家や原辰徳氏、細川たかし氏といったスポーツ選手や芸能人など、多くの有名人が出席しており、大盛況でした。
そういう中だったせいか、亀田興毅は、すでにかなりの注目を集めてはいましたが、昨今のような不遜な言動はまったくなく、スポーツ界の先輩たちにあいさつをして回っている彼に対する私の印象は、今ではすっかり定着した感のある「悪役」のイメージではなく、プロのアスリートを目指す少年という印象でした。どちらが彼の真実の姿かということは別にして、なぜ彼や弟・大毅があそこまで「悪役」になってしまったのかというと、スポーツにやたらといらない演出を施す民放各社の責任もとても大きいと思いますが、私は父親の存在があったからだと思います。
「誰が見たってそうだろっ」とお思いになるかもしれませんが、私の言っているのは、よく世間で言われている「父・史郎氏のひどさ」のせいということではありません。私は、史郎氏がどんな父親であったにしろ、おそらく「何らかの形で亀田兄弟には問題が起こった」という意味で、「父親の存在があったから」と言っているのです。たまたま史郎氏のキャラが“ああいう人”でしたし、TBSや世の中が求めた親子像、ボクサー像というものが、“ああいうもの”だったのでしょう。政治の世界で小泉氏や安倍氏が支持されたのとも呼応しているのだろうと思います。もし、世の中の流れが違えば、もっといい“キャラ”はだったかもしれませんが、いずれにしろ亀田家には、何らかの「挫折」や「スランプ」といったものが待ちかまえていたのだろうと思うのです。
米国女子ゴルフツアー公式戦(国内女子ゴルフツアー第33戦)の「ミズノクラシック」は、上田桃子のアルバトロス(1ホールをパーより3打少ないスコアで回ること)を含む6アンダー(通算13アンダー)の活躍で、米国ツアー初優勝で終わりました。
激しく賞金女王争いをしていた横峯さくらは、スコアが伸びず24位タイ、注目の宮里藍は、ここのところのドライバーの不調を引きずり、通算8オーバーで、78人中68位タイとこれまでの宮里からすると考えられないような結果に終わりました。
ゴルフというスポーツは非常にメンタルな部分が影響を与えるスポーツなので、宮里くらい技術が優れている選手でも、一度調子を崩すとなかなか立ち直れません。ここのところの宮里の不調の原因はどこにあるのか…。わが家では、宮里のスランプを、力を出し切れずに終わった全英女子オープンのインタビューの時から予想していました。
宮里の言葉を一語一句はっきりと覚えているわけではありませんが、
「あまりいい結果は残せなかったけれど、何よりもこの一週間、お父さん、お母さんと一緒に過ごせたことがよかった」という内容の話をしました。
「宮里は、さくらとは違うと思って期待してたのに、あんなこと言っているようじゃ、もうダメだね。きっとスランプになるよ」
日大でゴルフをやっている翔(かける)とそんな会話をしていました。
宮里のインタビューからは、それまでの闘争心にあふれた“強い宮里”のイメージがすっかり消え、ただの“いいお嬢さん”になってしまっていました。
横峯さくらも一時、父・義郎氏に甘えているようなそぶりが気になったことがあり、ややスランプに陥っているようにも見受けられましたが、義郎氏が参議院議員となり、その後の不倫騒動を経て父娘関係に変化があったようで、精神的なダメージがなかったわけはないと思うのですが、かえって成績が向上し、賞金女王争いをしています。
亀田兄弟にしろ、宮里藍にしろ、ここのところの大きな試練は既定路線。親が“いい親”であろうと“悪い親”であろうと、問題は“いい”か“悪い”かではなく、「親子関係にどうけりをつけるか」です。
子育ての問題点の多くは、親子の距離のとり方です。それが、自営業者の跡取りでも、サラリーマンでも、スポーツ選手でも、まったく関係ありません。親子の距離がしっかり取れ、子どもが自立してこそ活躍できるのであり、またその逆に、距離が近過ぎれば、どんなに非凡な能力を持っていたとしても潰れてしまいます。
亀田兄弟や宮里藍、横峯さくらも、しっかりと親子の距離を保って、非凡な才能を発揮してもらいたいものです。(プロ選手の敬称略)
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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