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2024年4月 5日 (金)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第314回「危機管理 その2」

ある日の小学校の懇談会。
「何日か前なんですけど、ベランダで洗濯物を干していたら、K社の社宅の屋上に子どもたちが上がっていました」
「Yさんのところのベランダからだったら、ちょうど正面だもんね」
「それがね、屋上に柵がないんですよ。だから、屋上の端まで行けば、下が見える状態」
「えーっ、うっそー!」
「本当だよ。Mさん知ってた? 4,5人だったかな? 屋上を走り回ってるからもし落ちたら大変だと思って。柵がない屋上に子どもたちが上がれるっていうことにびっくりしました」
するとK社の社宅に住んでいるMさんが、
「そうなんです。屋上には柵はないんです。前にも上がっている子どもたちがいて、注意はしたんですが…」
「屋上って、子どもたちだけで簡単に上がれちゃうんですか? 普通、屋上に通じる扉には鍵がかけてあって、上がれないようになってますよね」
「うちの建物はそういう構造じゃなくて、屋上は工事関係の人しか上がれないように、扉で通じてないんです。屋上に上がるには、最上階の廊下から壁に取り付けてある鉄のはしごで上がるんです。屋上に居住者が入るっていうことを想定していないので、柵がないんです」
「へぇ、なるほどね。でも誰でもそのはしご、上がれるんですか?」
「一応、はしごの先が床から120センチくらいは浮いていて、昇りにくくはなっているんですけど…」
「それくらいじゃあ、子どもたちは簡単に昇っちゃうんですね、きっと。K社の社宅のことだし、建物の構造の問題だから、小学校の懇談会で話し合ったからってどうっていうことじゃないけれど、Yさんの話で、子どもたちが危険な状況にさらされているっていうことはわかったから、そういう危険な場所が学区内にどれくらいあるのか、PTAで調査してもらえるよう、提案しましょうよ。K社の社宅の屋上の話は“屋上に子どもたちが上がっていた”っていうことを、Mさんから社宅の皆さんに伝えてもらえばいいんじゃないかな」
「そうですね」
この話は後日PTAの役員会に報告され、PTAで学区内の危険箇所の洗い出しと点検をすることになり、実際に何カ所か危険な箇所が指摘され、地域にも呼びかけて対策を取ってもらうことになりました。
次の懇談会のとき、K社の社宅に住むMさんから、
「社宅の最上階に設置されていた鉄のはしごの件ですが、子どもの手が届かない高さまで切ってもらうことになりました。今は、脚立を利用しないと屋上に上がれないようになっています」
懇談会全体にホッとしたという空気が流れました。
杉並区の小学校で、児童が屋上に取り付けられた採光用のドーム方カバーを破り、吹き抜けを1階まで転落するという事故がありました。普段は屋上に通じる扉には鍵がかけられ、児童だけでは、屋上に入れないようになっていたにもかかわらず、事故にあった児童以外の足跡が他のドーム型のカバーにも付いていたそうです。建築に関わった業者は、児童は屋上に入らないと聞いていたと言い、ドームの周りに柵は設けていなかったそうです。
杉並区和田にある小学校で事故があったとこのニュースが流れたとき、「あれっ?」と思ったのは私だけでしょうか。例の「夜スペ」や「PTAの廃止」で一躍脚光を浴びた「杉並区和田」だったからです。私に言わせると「何かあるんじゃないかなあと思っていたら、やっぱり」という感じ。小学校での事故ですから、直接は関係ないと思うかもしれませんが、大人たちがどっちの方向を向いて子どもたちと関わっているかということは子どもを守る上で大変重要なことです。大人が外に向けて何かを発信することに夢中になっているときは、こういうことはよく起こるものです。
K社の社宅の場合も一歩間違えば大変な事故につながったわけですが、「子どもを守る」というただそれだけの視点が末端の一人ひとりの保護者のところまで浸透していたため、大きな事故につながる前に対策が取れました。「他がやっていない何かをやる」ということではなく、日常の何でもない生活をどう過ごすか、そんなところに視点を当てた危機管理が重要なのだろうと思います。
事故にあった子どもの行動を責めるのではなく、何人もの子どもたちがドームに乗っていたことに気づかなかった学校や教育委員会の気のゆるみを厳しく糾弾すべきだと思います。
 
 
 
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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