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2024年4月 3日 (水)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第302回「パパ検定」

へぇーっ、パパ検定なんていうのができたんですねぇ。
ケーブルテレビのニュースで見て、ついさっき知りました。私の場合、「パパ」という立場をずいぶん前に卒業して、今やるとすれば「じじ検定」というところでしょうが、ちょっと興味を持って見ました。ネット上で検索してみたら、検定は終わってしまったんですけれども、模擬テストがあったので、早速やってみました。
ところがこれが難しい。確かに、テレビの中でやっていた問題も、内容が多岐にわたっていて難しいなあとは思いましたが、11題しかない模擬テスト(http://www.kentei-uketsuke.com/practice_guide.asp?exercise_id=papa001)も一般的な知識というだけではまったく足りず、様々な知識がないとできません。
「育児休業を取得した父親の割合」とか「ソフトバンクグループの出産祝い金の金額」とか「桃から生まれた桃太郎の別バージョンはどれか」とか、これはもう「パパ」に必要な知識というより、完全に雑学の部類ですね。中には、「離乳食に不適な食材」なんていう質問もあるので、役に立つものもあるにはあるのですが…。本当に必要な知識として聞くとすれば、「不適」というよりは、「適したもの」というような訊き方の方がいい気もするので、まあ遊びというところですね。
ニュースの中でインタビューされていた主催者側の女性も、検定の点数がどうのというよりは、「子育てに関する父親の意識を高める」というようなことが目的と話していたので、要は報道(宣伝)されればいいということなのでしょう。
いろいろよく調べていくとNPO法人ファザーリング・ジャパンというところの主催で、経済産業省、東京都、兵庫県が後援となってはいるけれど、代表の安藤哲也氏は、元々は出版社出身で、町中書店の復活の取り組みで有名で、オンライン書店を立ち上げたり、楽天ブックに関わってきた人。検定も「パパ検定」だけでなく、「ロック検」「地理検」「馬検」「メディカルハーブ検」「CAR検」「フードアナリスト検」「CMアイドル検」「猫検」「ミリタリー検」…。こうなってくると、まじめに「父親の育児参加」を考えているというよりは、「ビジネスのいいネタということか」と穿った見方になって来ちゃいます。それぞれに検定のための公式テキストが出ていたりするので、まさにメディアに取り上げてもらうための戦術といったところなのでしょう。検定ブームを利用した、とてもうまい商法だなあと感心してしまいます。
最近、父親の育児参加を呼びかけるものが多くなってきました。基本的には、私も賛成ですが、父親が子育てにどう関わるかということがとても大切です。ついさっきネット上に進学塾講師による有料受験対策「夜スペ」でも有名になった杉並区立和田中学校が、今度はPTAを廃止し、保護者をこれまで取り組んできた地域住民やボランティアで構成している「地域本部」の活動に組み入れるというニュースが流れてきました。これも男性を教育に参加させるという取り組みの一つです。校長の藤原和博氏は、リクルート出身で、次から次へと新しい試みを行ってきました。今回のPTA廃止もマンネリ化し活動に陰りが見えているPTA活動にある一定の影響を与えるだろうということは言えると思いますが、とても危険な要素を含んでいます。一つは、はっきりとした序列もなく、女性がリーダーシップを発揮することの多い、何となく曖昧で、だからこそソフトで優しいPTA活動のようなものが、体系化された組織という規格化のために男性社会のようなさめたものになり、さらに男女の役割が規定されかねないということ、もう一つは、これまでもずっと述べてきたことですが、「地域本部」のような活動は、「子どものため」ということを前面に出してはいるけれど、実はその陰に「行き場のない大人の受け皿」ということがあるということです。子どもと地域社会の関わりを語るとき、「昔はいろいろな人が子どもを叱った」という例をよく出します。私もそのあり方には賛成です。この話の根本は、まず子どもの行動があり、それがある大人のモラルに抵触した場合に怒られるという構図なわけですが、和田中学校に代表されるような地域社会再生の取り組みは、まず大人の行動があり、団体・集団としてのモラルができあがる。そしてそのできあがったモラルに子どもをはめ込み、それに反した子どもは怒られるという構図であり、そこには多様な価値観が入りにくい。この順序の逆転は子どもの成長にとって致命的です。大人の活動が先にありますから、何か活動に関わったという大人にとっての充実感は残るのですが、子どもは大人の価値観の中で行動させられるのであり、その結果、子どもは大人を越えられない上、そこの枠組みからはみ出るものも出てしまいます。大人はそのことを充分に意識するべきです。
「パパ検定」にしても和田中学校の取り組みにしても、大人の価値観の中で子どもを動かそうとする大人に焦点が当たった活動に見えてなりません。
子どもの中から湧いてくる考えや行動を待てない大人のための弊害で苦しむ子どもたち。毎日そういう子どもたちに接していると、あまりにも乱暴なこうした取り組みには疑念を抱かざるを得ません。経済を最優先にした小泉内閣以来、子育て・教育の中の優しさはどんどん失われ、少年の凶悪事件は増加しました。そろそろそれにはピリオドを打ち、経済とは切り離した、もっと丁寧で優しい子育て・教育に切り替えるときが来ているのだろうと思います。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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