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2024年4月 2日 (火)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第300回「達成感 その1」

どういうわけか理由はわからないんですが、1月の終わりころから今月にかけて、陶芸教室の入会者が増えています。陶芸教室のような仕事は、どうしても季節に左右されがちなので、例年だと入会者が多いのは春と秋。もっと細かく言うと、一番多いのが10月で、次に5月、4月、11月っていうような感じ。(あくまでもうちの教室はっていうことですけれど)
大人の習い事というのは仕事や子どもの生活に影響を受けるので、「就職が決まった」「転勤で越してきた」「子どもが入学した」「子どもが卒業した」等々の理由で、ほぼ毎年同じような動静になります。4月よりもむしろ10月、5月が多いのは、4月に生活が変わって半年が過ぎ、生活が落ち着いてきて、夏休み明けの旅行気分も抜けた時期ということ、子どもの生活が変わり、学校の諸行事も一段落、自分のことに目を向けられる時期ということ、なんていうあたりが、その大きな理由だと思います。仕事にしろ、子どもの学校にしろ、4月は行事が目白押し、9月はまだまだ気分は夏休み、しかも夏にお金を使ってしまい懐が寂しい。誰もがそんな事情を抱えているからなんでしょう。
ところが、今年はなぜか年明けの1月から今日までの入会者が例年になく多い。いつもだと今ごろから、タウン誌に広告を打って、4、5月に備えるっていうところなのに、すでに続々と体験レッスンに押し寄せて、多くの方に入会していただきました。
「ん~、なんでだろう?」
と考えてみるに、広告媒体の変化と労働形態の変化かな?という気がします。これまでは、時期を見てこちらが打ったタウン誌への広告に反応して入会したということが多かったけれど、最近はいつでも自分から見られるインターネットの広告媒体が主流になってきたこと、そして労働形態も4月入社の正社員という形から、時期に関係のない契約社員、派遣社員という形が増えてきたこと。そんなことから、今までとは動静が著しく変わってきたのだろうと想像されます。
そして、もう一つ大きな理由があります。それは、私の気合い。
これまで、ほとんどスタッフに任せてきた体験レッスンに、私もかかわるようにしました。すると、スタッフだけで体験レッスンを行った場合の入会率はおおよそ10~15%といったところだったのに、私がかかわった場合は、90%超えに。経営上のことで言えば、それはとってもまずいことで、私も経営者として、スタッフにきちっと指導をしなければなりません。いったい、どこがそんなに違うのか???
体験レッスンに訪れた人に対するスタッフの対応をよく観察してみました。すると、いくつか気付いたことがありました。一つは、全体の手順。入会するための体験レッスンなんだから、本来ならどこかベストなタイミングで、入会についての説明がなくてはならないのに、まず焼き上がった作品を取りに来てもらうことありき(当然、入会した人には関係ないわけですが)で、「焼き上がったら、ご連絡いたしますので、取りに来てください」なんて説明ばかりしていて、入会についての説明が後回しにされている。もう一つは、体験レッスンの人に座ってもらう場所。もちろん、現会員の皆さんもいらっしゃるわけなので、最も適した場所は、うちの教室の場合なら、入り口を入ってすぐの所(全ての会員の皆さんを回った場合のちょうど中心点で、しかも教室全体が見渡せる)に決まっているのに、最も奥の一番適さない場所に座ってもらったりしている。
そして、最悪なのが教え方。(結局全て悪いわけですよね。まったく今まで経営者として何をやってきたのか…)人が何かを始めて、それを継続するのに大切なのは、そのことが楽しいということ。楽しいということは、どういうことかというと、もちろん好きか嫌いかということも重要な要素ではありますが、「達成感」を感じられるかどうかが、楽しいか楽しくないかの鍵です。「達成感」というのは、「出来なかったことが出来た」という喜びです。どんなことにも器用・不器用はありますので、陶芸を教えていると初めから上手に作る人もあれば、下手な人もいます。体験レッスンをしていて、上手に作る人が入会するのかと言えば、そういうわけでもなく、それではうまくできなかった人が入会するのかと言えば、もちろんそれも違います。入会に絶対に必要な要素が「達成感」なんです。「教わったことで、それまで出来なかったことが出来た」と感じてもらうことが最も大切です。「教わったら出来た」「教われば出来るんだ」という感覚は、安心感を生みます。そして、さらに将来の「自分像」(どれくらい先にどんな自分になれるのか)を示してあげることで、その安心感は高まります。
そんなことが感じられる体験レッスンなら、かなりの確率で入会してもらえるというわけです。大人が陶芸のようなことを習おうとする場合、その後の自分の生活設計や経済的要素なども加わるので、単純に達成感やその後の自分像だけで、継続するかしないかが決まるわけではありませんが、これが子どもの場合であれば、陶芸に限らず、全てのことについて言えることですね。
陶芸教室に入会するか・しないかの要素が、上手い・下手ではなく、達成感を感じられるか・感じられないかだとすれば、子どもの意欲を育てるのも、偏差値が高いか・低いかではなく、いかに達成感を感じさせることができるか・できないかということですね。
たった今、孫の蓮(れん)が目の前で、パンにマーガリンを塗っていますが、「ひとりでパンにマーガリンが塗れた」、たったそれだけのことにも、達成感はあるわけです。日々の繰り返しの中で、子どもの心は育っていきます。そんななんでもない日々の達成感が、子育ての勘所なのかもしれません。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

 

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