【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第290回「学力日本一の秋田県」
第290回「学力日本一の秋田県」
19日付朝日新聞は「もっと知りたい! 学力日本一 秋田の秘密 早寝・早起き・復習、当たり前」という記事を掲載しました。
そう言えば、全国学力調査で小学6年の全科目が1位だったのは、秋田県だったっけなあ…。
ん? そんなことどこかに飛んじゃってたけど、11月12日にアップした第284回「子育ては都会、それとも田舎?」の柳葉敏郎氏の話も秋田だったっけ。
19日の朝日新聞の記事を見て、やっと全国学力テストのことと柳葉氏の田舎暮らしのことが結びつきました。
トホホッ。。。。。です。朝日新聞にしてやられたという感じ。
偶然の一致かもしれないんですけど、(いやいや、そんなわけはない!)最近の朝日新聞の傾向として、「子どもの心や優しさより学力」、「親の意見より学校の意見」といった傾向が強いので、全国学力調査の結果、「日本一が秋田だった」ということを考えると、「教育のために東京を捨てて秋田に住む」という柳葉氏の行動をさりげなく取り上げたわけは、一見子どもの「心や優しさ」を取り上げたように見せかけて、本当は「学力」だったんじゃないの?なんて考えちゃいます。実に朝日新聞らしいやり方です。おそらく、学力日本一が秋田になったので、「秋田、秋田」って秋田に関係している人を探したら柳葉氏にぶつかった、そんなところじゃないですかねえ?
もちろん柳葉氏が秋田に移ったのは調査の前だし、もし調査結果が出たあとだとしても、彼の意識の中に「学力日本一」があったなんていうことは考えられませんが…。
うちは、ずっと朝日新聞(うちでも取って、カウンセリング研究所でも取って、陶芸教室でも取っているので、毎日同じものを3部も取っている)なので、まあ批判をしても仕方ないんだけれど、ちょっと最近の朝日新聞の記事ややり方には、そういうところが目について辟易とする部分があるので、ちょっと苦言を呈しておきます。
まあ、それはさておき、学力日本一の話。
秋田県が学力日本一になってから、全国各地から秋田県に視察団が訪れているんだそうですね。
この全国学力調査に関する記事で、毎日新聞は10月25日に「トップ秋田と最下位沖縄、経済格差も影響」という見出しで沖縄県が置かれた状況に目を向け扱いました。けれども、この見出しの付け方には、とても問題があったと思います。どう読んでも、秋田と沖縄との経済的格差のように取れてしまいます。おもしろいことに12月19日の朝日新聞の記事の中には『前東大学長の佐々木毅・学習院大教授(65)は「経済的・地理的な格差論議がさかんな中、これをひっくり返す結果だ」と驚く。出身の美郷町は県平均より良かった。「人口が減っている地域だけど、先生の目が行き届く環境なのではないか」』という部分がありました。誰が考えたって、秋田も豊かではないんですよね。「豊かだから学力が向上し、貧しいから学力が低下する」というシナリオは崩れているんです。学力上位の県には、富山県、福井県などが上げられています。首都圏の豊かさから考えれば、けっして豊かとは言えない地域です。
この調査には、私立学校の大半が不参加ではありましたが、私は、この調査の結果を見る限り、学校での学習と家庭での学習の大切さが浮き彫りになったと見ています。というと、秋田の多くの学校が取り組んでいる「家庭学習ノート」をまねて、宿題を多くだそうといった短絡的方向に行く学校や先生が多いのでしょうけれど、よく考えなければならないのは、そんな些細なことではなく、子どもを取り巻く社会環境だろうと思います。朝日新聞の記事の中の『(三種町立湖北小)研究主任の金田咲子先生は「遊ぶ所も少ないから、家族みんなが規則正しい生活を送っている」と言う』という部分はとても興味深い部分です。ここで言う「遊ぶ所」というのは、都会の「射幸心を煽る遊び場」(遊ぶところだけでなく、買い物をするところであったり、飲食をするところであったり)という意味だろうと思いますが、逆に秋田には柳葉氏が考えるような伸び伸びとした子どもを作る「遊び場」がたくさんある。かたや「射幸心を煽る遊び場」をたくさん作り、かたや勉強をやらせる「塾」をたくさん作る。子どものやることはどんどん増えて、忙しさの中に子どもたちは疲労する。本当の意味の子どもの遊び場はどっちが多いのか…。
来年孫が入学する小学校(私が子どもたちを通わせた小学校ですが)は、とても小さな学校で、とうとう隣の小学校と合併することになりました。それでも、おそらく一学年2クラスです。娘が説明会に行ってみると、どうも隣の地域の全ての子どもたちが入学するわけではないらしい。一部のお母さんたちが小さな学校の教育環境を心配して、もっと設備の整った規模の大きい蕨市内の学区へ移るらしいというのです。秋田県知事が言うには、「郡部の小さな学校が強く、教育環境が整っていると思われている秋田市が弱い」ということのようなのですが…。
子どもたちの置かれている状況をしっかり見つめ、学力の面でも心の面でも、真に子どもたちに与えなければならないのは何なのか、私たち大人が地に足をつけて考えなければならないときなのではないかと思います。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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