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2022年1月13日 (木)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第232回「小さな幼稚園」

小さな幼稚園の運動会を訪ねました。
「鈴木京子ちゃん」
「はーい!」
「田中直美ちゃん」
「はーい!」
「佐藤美香ちゃん」
「はーい!」
「小林由美ちゃん」
「はーい!」
徒競走のスタートラインに並んだ園児たちは、先生に一人一人名前を呼ばれると、手を挙げながら「はーい!」と元気よく返事をしました。
「第2のコース、大関直隆、JAPAN」
と名前を呼ばれるオリンピックさながらの光景がそこにはありました。(大げさ!)
「位置について、ヨーイ、ドン!」(最後の「ドン」はもちろんピストルの音)
小さな園庭に描かれたトラックを必死で走る園児たち。どの子の顔も、真剣そのもの。けれども、ゴールした子どもたちの顔は、1等賞になった子も、残念ながらビリになってしまった子の顔も、みんなさわやかな顔でした。
「う~ん、一人一人が、一人一人として対応されるって、こういうこと?」

この幼稚園は、定員が80名の幼稚園ですが、現在の在園児はわずか20名。これまでの園の経営方針が、うまく母親の心を受け止められなかったらしく、近隣には大規模な幼稚園があるにもかかわらず、昨年までは存続の危機にさらされていました。今年度の園児募集の時期から理事長が替わり、大きく経営の舵を切り直したおかげで、限りなくゼロに近づいていた園児の数が、今年度から切り返し、20名にまでなりました。理事長曰く、
「今年は入園の問い合わせがだいたい40件くらい来ているから、来年は倍になりますよ」確かに、今日の運動会に集まった未就園児の数からすると、まんざらでもない様子。
そうは言っても、現在の園児数は定員にはほど遠い数なので、いろいろと特別室のようなスペースを作ったとしても、まだ半分が空き教室です。

徒競走が終わると、
「はーい! 今度はお母さんとダンスをしまーす!」
徒競走が終わって一旦引っ込んだ園児たちが、今度はダンスをするために、お母さんと手をつないで、入場行進を始めました。とにかく園児は園庭の真ん中にいるその子たちですべてですから、大変です。それでも、ニコニコしながら定位置に着くと、

Under the spreading chestnut tree 大きな栗の木の下で
There we sit both you and me あなたとわたし
Oh how happy we will be なかよく遊びましょう
Under the spreading chestnut tree. 大きな栗の木の下で

と歌いながらダンスを始めました。
「英語もやってるんだ!?」
ちょっと取って付けたような感じはしました。園児が少ないので、普段は職員4人体制でやっているとか。子どもと関わる人が少ない分、英語やリトミックを外部の先生に頼むことで関わりを増やしているようでした。
園で行われている英語やリトミックといった幼児教育の質の良し悪しは別として、運動会全体を眺めたとき感じたのは、「子どもたちがのびのびしているなあ」ということです。つい先日、孫の通っている幼稚園の運動会がありました。そこの幼稚園も、わが家の近所では自由保育で有名なところで、落ちこぼれる子というのもほとんど見受けられず、子どもたちはとてものびのびしています。けれども、今日見た子どもたちは、それにも増してのびのびしているように見えました。
「う~ん、これが人数が少ないっていうことかぁ…」
あまりの早さで進行していく運動会にちょっと寂しさも感じはしましたが、
一人一人の園児と関わることの大切さをまたひとつ学んだように感じました。
(登場する人物はすべて仮名です)

 

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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