【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第214回「子育て・教育のコーディネイト 前編」
最近では“リフォーム詐欺”という言葉が新聞を賑わすほどポピュラーになったリフォーム。私が今住んでいるマンションの部屋をリフォームした9年ほど前は、まだまだリフォームだけを専業で行っている業者もそれほど多くはなく、わが家は知り合いで地元の建設業者にお願いしました。
知り合いの業者は、元々は解体業から出発し、不動産業、建設業と業種を広げ、うちが知り合ったころは、1店舗で経営しているさほど大きくない有限会社だったのに、あっという間に県内にいくつもの営業所を抱える大きな株式会社になりました。
そういう会社ですから、そのころはもちろん下請けも数多く、リフォームはお手の物。すべてお任せすることにして、担当の監督さんをわが家に呼び、相談することになりました。もちろん私はリフォームについては素人ですが、ちょうどそのころ専門学校の“デザインアート科”という科で教えていたり、陶芸という職業柄というか、主夫柄というか、インテリア等のコーディネートにはそれなりのこだわりがありました。
「新聞でコルクの床っていうのを見たんですけど、フローリングと比べてどうですかねえ?」
「キッチンはシステムキッチンで、私の身長に合わせて台を高く。ガス台はそれぞれ火力が違う3つ口で。リビングが油で汚れちゃうので、換気扇も大きい方がいいなあ」
「お風呂は浴槽をもう少しゆったり取りたいんですけど、ユニットで可能ですかねえ?」
「壁紙も白のビニールクロスだけっていうのはねえ。少しモダンな感じにしたいんだけど…」
「だいたいわかりました。それぞれの業者を大関さんのところに来させますから、相談してもらえますか」
そして翌日から、それぞれの業者と細かい打ち合わせです。まず壁紙と床の業者さん。
「リビングはこのコルク。子ども部屋はこれとこれで。壁紙は…、カタログってこれしかないんですか? もうちょっと派手目なっていうか、もうちょっと色の付いてるっていうか大きな柄があるっていうか…」
「それじゃあこのカタログにはないから、今度店舗用のカタログ持ってきますよ」
壁紙は店舗用の壁紙から選ぶことになって、
「この部屋はこれね。ここは子ども部屋なので楽しそうなやつがいいなあ。あれっ?この壁紙って、電気消すと光るの? へーっ、楽しそうじゃん! じゃあ、この部屋の天井はこれね。ここはエスニックっていうか、アラビアンっていうかそんな感じでしょ。こっちの部屋は純和風、洗面所は海かなあ。ああ、いいの見つけちゃった! このヨットの絵がついてるやつ」
そして次はシステムキッチンとユニットバスの業者さん。
「リビングダイニングの壁紙はこの色なので、そうだなあ…、キッチンはこの色かなあ。お風呂はこの大きさのものが付きますかねえ? 混合栓もこのタイプかなあ…」
そして最後は、ペンキ屋さん。
「それぞれの部屋の壁紙が、全然雰囲気が違うので、部屋ごとにペンキの色も替えてほしいんですよ。ここは青、ここはこげ茶かな。ここはちょっと濃いめのクリーム。全部で7色」
「大関さんねぇ、普通のお宅は、これくらいのマンションだったら3色くらいなんですよ。そんなちょっとの量をうちも仕入れられないし、こういうのって特殊な色だから、残っても他のお宅に使えないでしょ。7色は無理ですよ」
私はムッと来て、
「あなた塗装屋さんでしょ、そんな難しいこと頼んでないじゃない! 別にどこのどういうペンキ使ってくれっていってるわけじゃないんだから、ドイトだってエッサンだって買ってきて塗ってくれればいんだよ。ちっちゃい缶一つあればいいんだし、コストが上がった分なんて、うちが払うでしょ! 数百万のリフォーム代のうち、たかが数百円だよ」
「…」
「じゃあ、何色だったら塗ってくれるわけ?」
「なんとか3色以内に納めてもらえませんかねえ…」
「わかった。じゃあ、もういいよ。3色だけ塗ってください。後は私が自分で塗るから」
結局、7色のうち面積の広い3色をペンキ屋さんに塗ってもらうことにして、残りの4色は、私と翔(かける)の二人で塗ることになりました。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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