【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第206回「お花さんがね…」
「じいちゃーん、いってきまーす!」
「いってきまーす! じいちゃん、バイバーイ!」
「ハーイ! 行ってらっしゃーい!」
孫の蓮(れん)と沙羅(さら)は、毎朝楽しそうに幼稚園に出かけていきます。昨年まで一人で年少組に通っていた蓮は、自分が年中組になり、沙羅が年少組に入ったことで、今まで以上に幼稚園が楽しくなったらしく、昨年の何倍も何十倍も楽しそうに出かけていきます。沙羅は沙羅で、蓮の参観や懇談のときに麻耶(まや)に連れられ、必ず幼稚園を訪れていたので、この4月に入園したとは思えない大きな態度で、幼稚園での時間を過ごしているようです。
入園式の翌日、幼稚園から戻った蓮は言いました。
「沙羅ちゃんのことが心配だから、今日は沙羅ちゃんのお部屋まで見にいってきた!」
そしてその翌日は、今度は沙羅が、
「ねえねえ、沙羅ちゃんねえ、今日ねえ、蓮くんのお部屋へいって、蓮くんのお友達と遊んできたあ!」
いやいや、こりゃどっちもどっちだ!
沙羅の入園式には、何とか時間の都合をつけて、私も妻も参加しました。
この幼稚園は、翔(かける)が卒園した幼稚園で、自由保育の幼稚園です。園服、帽子、カバンは一応決まっていますが、バスがない、給食がない、延長保育がない。当然のことですが、近所での評価は、「だから入れる」という人と「だから入れない」という人に分かれます。確かに翔のときも大変でした。毎朝必ず園まで送っていく。そして必ず園まで迎えに行く。しかも毎日お弁当。とは言え、苦になるということは全然なくて、かえって楽しい幼稚園児の親業をさせてもらったなあと思います。食物アレルギーのあるお子さんや障害のあるお子さんもいて、そういうお子さんにとっては、なくてはならない幼稚園だなあと思います。
私が思う欠点と言えば、園長先生を始め、園の先生方の話が長いこと。沙羅の入園式の園長先生の話も、
「園長先生がね、花壇の方へ行ったらね、赤いお花さんがね、“園長先生、園長先生!”って、園長先生を呼ぶの。そしてね、“今度タンポポ組さんには、どんなお友達が入ってくるのかなあ?”ってお話しするの。それでね、園長先生がね…」
ってな具合に、赤いお花さんから、黄色いお花さん、紫のお花さんまで続くわけだから、まあ結構長い。これは、園児に対するお話で、その後当然保護者に対するお話も続くわけで、3歳児がいるっていうことを考えれば、とにかく長い。さらにそれに追い打ちを掛けるように、先生方全員(規模の小さい幼稚園なので、8人だったかな?)のあいさつ(まあ、それはほんの一言ではあるけれど)、おばあちゃん先生(園長先生の奥さん)のあいさつがあるんだから、ますます長い。みなさん、一生懸命子どもたちに語りかけてくださっているので、3歳児たちもまあ何とか保つには保ったけど、
“いやあここの先生方は翔のころと変わらず、話し好きだあ!”
「お花さんがね、お話しするの」っていう園長先生のお話を聞いていたら、「おいおい大丈夫かなあ? 幼稚園児じゃあ本気にしちゃうよ」と文学の世界だけじゃなくて、自然科学の世界も教えてほしいなあとか思ったけれど、その後の蓮と沙羅の「いってきまーす!」という元気な声を聞いていると、何がどうだろうと、子どもたち全員が、登園拒否にならず、楽しく幼稚園に通えるということが一番大切なことだよなあと、改めて先生方の話の長さにも納得するのでした。
さて、そろそろ今朝も「ばあちゃん! じいちゃん! おはよう!」と蓮と沙羅が起きてくるぞっ!
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント