【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第223回「初めての富士登山 前編」
娘の麻耶(まや)が突然
「夏休み中にね、蓮(れん)と沙羅(さら)を富士山に連れて行こうと思うんだ」
「ん? なんで?」
「なんでってこともないんだけど、やっぱり富士山は日本一高い山じゃん。観光名所っていうか、とにかく有名でしょ。そういうとこって、小さいうちに一度見せてやった方がいいかなって」
「ふーん」
「日光とか京都とかさ…。日光はもう行ったでしょ。京都は、ちょっと遠いしね。だから、今年は富士山かなって」
「ふーん。そういうもんかねえ」
「何歳くらいからだったら、富士登山できるかなあ?」
「はっ? 蓮と沙羅を富士山に登らせようとしてる?」
「そうだよ。せっかくだもん、登らなきゃ!」
「おまえだって登ったことないのに…」
「だから、経験させてやりたいんだよ」
「かっ! まだ無理だろっ、幼稚園の年中と年少じゃあ!? せいぜい、小学校の5、6年生くらいにならないとぉ」
「やっぱりそうだよねえ…」
「あたりまえだろっ!」
「でも登らせてみたいんだよ。頂上までっていうことじゃなくて、いけるとこまででいいからさ」
「ふーん。まあ、登らせたけりゃ登らせればいいけど、おまえが大変だぞ」
「まあね。それはわかってるんだけど、登らせてみたいんだよ。もし、どうしても途中でダメになっちゃったら、私がひっ背負ってやる!」
「はあ、すごい気合いだなあ。そこまで登らせたいかねえ?!」
いよいよ富士山に出かける前日。あいにく台風が来ていて、明日の天気が心配されました。
朝、私がパソコンを開いていると、蓮が近くにやってきました。
「蓮くん、今度富士山登るんだって?」
「そだよ」
「いいねえ」
「うん」
「蓮くん、どっか山登ったことある?」
「うん、あるよ。この前、森林公園のお山、登ったよ」
「?(森林公園に山なんてあったっけ?) ふーん。じゃあ、富士山も登れるかな?」
「うん、登れるよ! じいちゃん、富士山の写真見せてよ!」
「いいよ!」
インターネット上で、“富士山”で検索し、写真をパソコンの画面に表示してやりました。しばらく富士山の写真を眺めていた蓮が、何を基準に言ったかはわかりませんが、
「うーん、高いなあ…。登れないかもしれない」
と急にトーンダウンして言うので、ちょうど中腹あたりにかかっている雲を指さして、
「これが雲だよ」
と説明すると、
「んー」
と言いながら、何度も首をかしげています。と、突然、
「蓮くん、じいちゃんに雲さんを取ってきてあげる!」
と言いました。
「うん、そうだね。じゃあ、じいちゃん楽しみに待ってるからね。お天気、いいといいねぇ」
「うん!」
そして、娘の麻耶と孫の蓮と沙羅は、三人で富士山に出かけていきました。
つづく
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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