【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第186回「子どもと接する時間と質」
「私は上の二人にはいい子育てしてこなかったなあ」
「そんなことないんじゃないの?」
「いやあ、やっぱりよくなかったと思うよ。あなたの子育て見てると、すごく丁寧だし、時間もかけてるし…」
「そうねえ…。主夫っだったからねえ。外で仕事をしてないわけだから、時間はあったよね」
「私なんか、子どもを保育園に預けて、迎えに行くのもいつも最後でしょ。家に戻って、お風呂に入れて、食事をさせて、あとは寝るだけ。毎日それだからね」
「それは、仕事をしていれば仕方がないでしょ。でもそのころの関わり方見ていたら、確かに普通に主婦して子育てしている人と比べて時間は短いけど、ずいぶん密だったと思うよ。働いている時間以外は、すべて子どもとの時間だった。自分のための時間ていうのなかったもんね。子育てにとって重要なのは時間の長さじゃないでしょ。やっぱり重要なのは質だと思うよ。もしね、子どもにとって悪い親だったとしたら、長くいることでかえって子どもは悪くなっちゃうよねぇ。だから、保育園に預けていたっていうだけで、子どもと関わる時間が短くていい親じゃなかったっていうことにはならないよ」
「そうねえ。確かに長さではないと思うけど、生きるためにやらなくちゃならないこと、例えば食べるとか、お風呂に入るとか、寝るとか、トイレに行くとか、そういうことをさせる時間を除くとほとんど時間がなかったんだよね」
「でも問題なのは、その食べるとか、お風呂に入るとか、寝るとか、トイレに行くとか、そういうときにどう子どもと関わるかっていうことだと思うけど。あと、子どもたちと関わりたいって思っているか、思っていないか、関わる時間が取れなくてごめんねっていう気持ちを持っているのか、それとも働いているんだから関われないのは当たり前って開き直っているのか、とかね。子どもに対してどういう気持ちを持って接しているのかっていうことがすごく重要なんだろうって思う」
「そうかもなぁ…。でもやっぱり保育園に入れてると幼稚園に入れてるお母さんと比べて、子どものことを大事にしていないような気持ちになるっていうか、私の場合は負い目になってた」
「そうねぇ、それはわかる気はする。でも最近は傾向が違うんじゃないの? 早く子どもから離れたいから、3歳で幼稚園に入れるお母さん、仕事を持っているからやむを得ず保育園に預けているお母さん。どっちがいいかって言ったら微妙でしょ」
「できるだけ早く子どもを幼稚園に入れて、自分の好きなことをしたいっていうお母さん増えてるよね。っていうか、みんなそう」
「そうだね。保育園もちょっと前までは、働か”ねばならない”から、保育園に預けていたけど、最近は”ねばならない”じゃなくて、”働きたい”から預けるに変わってきた。そのこと自体が悪いとは思わないけれど、”したい”というなら”ねばならない”というよりもっと”子どもに対して申し訳ない”というような意識を持った方がいいと思う。やっぱり重要なのは、そういう気持ちを持っているかどうかにかかっているんじゃないかな? 親が子どもに対して”生んでやった””育ててやってる”って思った瞬間に子育ての質は下がる。親と子はどんなに小さい子でも”対等”でいいと思うけれど、子育てに対する自覚と責任を親は常に持つべきだね。ただし、子どもを囲い込むということではなくて、独り立ちさせるという意味でね。そのためには、やっぱり時間じゃなくて、質なんだろうと思うよ」
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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