【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第190回「節操」
「じいちゃんとお風呂入るぅ!」
私がお風呂に入ろうとしていると、孫の蓮(れん)が寄ってきて一緒にお風呂に入ると言い出しました。
「蓮くん、じいちゃんとお風呂入るの?」
「うん!」
「じゃあ、じいちゃん先にお風呂に行って、お風呂丁度よくしてくるから、ちょっとしたらおいで」
「うん!」
私が先にお風呂に行って、湯加減を調節しようとしていると、蓮ではなく妹の沙羅(さら)がお風呂の前まできて、どんどん服を脱ぎ始めました。
「あれっ? 沙羅ちゃんかぁ。沙羅ちゃんもじいちゃんとお風呂入るの?」
「うん!」
なかなか湯加減が丁度よくならないのに、そんなことはお構いなし。沙羅はどんどん服を脱いで風呂場に入ってきてしまいました。
「沙羅ちゃん、ちょっと待ってて。まだね、お湯が熱いんだよ」
「うん」
そうこうしているうちに蓮も裸でやってきました。
わが家はマンションで、お風呂はユニットバスなので、狭い狭い。私くらいの体格だと湯船に浸かっても身体全体をお湯に浸けるのはとっても難しくて、肩まで浸かろうとすると膝が出る、膝を入れようとすると肩が出る。なんとか全身を入れるには、全身が浸かった時に湯船からお湯があふれるレベルまでお湯を入れてから、まず肩を入れる、そしてちょっと身体をひねって、湯船から顔を出した膝を横に倒してお湯の中に納めるという順番で入らないと、全身をお湯に浸けることができません。
というわけですから、蓮と沙羅が一緒に入るととにかく狭い。ゆっくり暖まるなんていうことはぜーんぜん無理。私はお腹の上まで入るのがやっとです。
「沙羅ちゃん、お尻よく洗って…。そうそう、上手だね。じゃあ入ろうね。せぇのう!」沙羅はまだ湯船に一人で入れないので、入れてやりました。
「蓮くんもお尻洗ってね。そうそう。蓮くんも上手だねぇ」
蓮は最近やっと台を使わず湯船に入れるようになりました。まるで芋洗いのように3人で湯船に浸かって、ワアワア大騒ぎ。
「じいちゃん、ちょっと出て頭洗うよ」
「うん」
私が湯船から上がると、お湯は一気に半分に。
「あーっ、お湯が小さくなったぁ! じいちゃん出るとお湯が小さくなるぅ!」
沙羅が叫びました。少ないという言葉を知らないわけではないので、沙羅の頭の中では、こぼれてなくなったのではないので、お湯の量が減ったということではなくて、小さくなったと思っているのでしょうか???
「またじいちゃんとお風呂入ろうね!」
「うん!」
元気よく返事をして、二人はお風呂から上がりました。
翌日。
この日は妻と私の帰りが早かったので、私が食事の支度をしている間、妻が蓮と沙羅を遊ばせていました。
「ばあちゃんとお風呂入るぅ!」
蓮が叫ぶと沙羅も続いて
「沙羅ちゃんもぉ!」
「あれっ?じいちゃんと入るんじゃなかったの?」
「じいちゃんとは入んない!ばあちゃんと入るぅ!」
「はぁ?お前、じいちゃんと入るって言ってたじゃん!」
と私が言うと、蓮はニヤッと笑ってどんどんお風呂の方へ行ってしまいました。沙羅もそれに続きます。そしてそれからしばらくの間、お風呂から蓮と沙羅が楽しそうにはしゃぐ声が聞こえていました。
食事になると娘の麻耶(まや)が、
「蓮くんが好きなのはねぇ、まずママでしょ、次が沙羅ちゃん、次がやよいちゃん、次がやよいちゃんのママ、そこまで言ってあとは言わないの。ばあちゃんとじいちゃんはねぇ、その次らしいよ」
と言いました。
「それって麻耶に言ったんだろっ?」
「そうだよ」
妻が、
「この前、私には一番好きなのはばあちゃんって言ってたよ」
と言いました。
「そうそう。すぐ替わるんだよ」
「まったく節操のないやつだなあ!でも麻耶もそうだったもんなあ。誰かに遊んでもらうとすぐ遊んでくれた人が好きって言うの。まあ、子どもなんてみんなそんなもんだよな」
「そうやって自分を保護してくれる人を見つけてるんだよね。そうしないと自分一人じゃ生きていけないからね」
さて、今日は誰とお風呂に入ることになるのかな?
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