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2021年11月22日 (月)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第189回「危機管理」

スーパーに買い物に行ったら、なんと犬のように胴輪を付けられている2歳くらいの子どもが…。
あぁ~
たぶんその子は慣れているので、特別“いや”という感覚もないのだろうけれど、あの親子の間の距離感は、必ず後になって影響が残るはず。リードを持っていることで、子どもがどこかに行ってしまう危険性は少なくなるのだろうけれど、心が危険な状況になっちゃうよ~。別に胴輪にリードじゃなくたって、手をつなげばいいじゃないの!
見ているだけで、鳥肌が立つような寒気がしてしまって、つい目をそむけてしまいました。

1月までペットショップも経営していたので、犬のかわいらしさもわかるけれど、やはり「犬は犬」、「人は人」。こんな子育てがはびこったら、人間が人間として育つはずがない。オオカミに育てられた「カマラ」と「アマラ」が人間らしい人間にはなれず、死ぬまで獣の習性から脱しきれなかったように、胴輪にリードという人間関係では、人間の優しさや暖かさを身につけられるはずがない。

子育てにとっての「危機管理」っていったい何なのか、しっかり考える必要があるんじゃないかと思います。
確かに親が目を離しているときに、子どもがどこかに行ってしまう危険性はあります。けれども、そういう危険が存在するなら、目を離さなければいい。あるいは直接つないだ手を離さなければいいのです。胴輪とリードを付けて、親と子どもの間に距離をおく必要はない。胴輪とリードという発想は、「大人が自由になりたい」、自分たちが子どもから離れて「自由に買い物がしたい」「ベンチに座ってタバコを吸いたい」そんな発想から生まれてくるのだろうと思います。「あっ!」と思ったその瞬間に子どもを守ろうという発想がない。

「どんなときでも子どもの体と心に手の届く距離にいること」、これは子育てにとって最も重要なことです。
リードを持っていたのはお父さん。そばでお母さんが買い物をしていたけれど、引かれている子どもも含め、3人ともまったく表情がありませんでした。買い物をしているおよそ15分くらいの間、1度も笑うこともなく、子どもに言葉をかけることもなく、私には信じられない光景が繰り広げられていました。普通、2歳くらいの子どもを連れている夫婦って、楽しそうにしてるものだろうと思うのですが…。

でも、胴輪を付けている子どもを見るのは初めてじゃないなあ…。以前、3組くらいの母子が皆胴輪とリードを付けて、グループで買い物をしているのを見たことがあります。そのときも、目を疑いたくなるような大きなショックを受けました。もう5年くらい前になるでしょうか。あれから1度もそういう光景に出くわさなかったのは、それほどお母さんたちに受け入れられてないのかな?
もう2度とあんな光景は目にしたくないですね。

ここのところ、小学生が犠牲になる事件が相次いでいます。この連載の中で、何度となく述べてきたように、教育というのは本来人を信じるところからスタートするべきものなのに、人を疑ってかかるところからスタートするよう教えている現状を、とても心配しています。多くの子どもたちが、人間関係をうまく結べないと言う。人を疑うところから教育しているわけだから、それも当然のことでしょう。そんな中で、うまく人間関係を結べるよう子どもたちにスキルを教えている学校もある。

塾の講師が生徒を刺しました。これは私がずっと心配していたことです。人間関係を結べないのは、子どもたちではなく教師のほう。子どもたちに人間関係の結び方を教える前に、教師の方が学ばなくては…。
12月10日の朝日新聞1面に「親睦から危機管理へ 変わるPTAの役割」という記事が掲載されました。
「おいおい冗談じゃない!PTAの役割は、元々危機管理じゃないか!」
親睦を図るということが、どれほど地域の中での危機管理につながっているか…。朝日新聞ですら、そんなこともわからず記事を書いている現状。

多少のリスクを負ったとしても、人を信じるところから教育をスタートさせることが、20年後、30年後の危機管理につながっていくのだろうと信じます。「人を信じない」という負担を子どもたちに背負わせるのではなく、子どもたちが安心して人を信じられるよう、大人がすべての負担を負わないと、20年後、30年後にはさらなる危機管理が必要になってくるのだろうと思います。
「危険な世の中になるから身を守る術を身につける」ではなくて、「安全な世の中をつくる」という、大人の決意が重要なのでしょう。

 

 

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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