【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第187回「お母さんの同窓会 その1」
「大関さん、幹事やってよ」
「そりゃあいいけど、私なんかじゃない方がいいんじゃないの?」
「いいよぉ、大関さんでぇ!」
「そうそう、大関さん幹事ね! ここでやろっ、ここで!」
なんだか思わぬ展開。
ことの始まりは、うちの会社の近くにある居酒屋チェーンの店長が、会社に訪ねてきて、「工事で大変ご迷惑をおかけいたしましたが、この度新装開店いたします。つきましては、ご招待状をお持ちしましたので、オープンの日にぜひお越しください」と招待状を置いていったこと。
「あそこ、工事でしばらく通れなかったから、それで持ってきたんじゃなの? ここの社長はSさんなんだよね。この前「会社情報」見ててビックリしちゃった。年商70億円くらいなんだよ。お嬢さんが麻耶(まや)と幼稚園で一緒だったでしょ。同じリス組で誕生月が同じなのは2人だけだったから、お誕生会のあと2人で撮った写真があったよね」
「ああ、そうだったね。お店やってるって言われて、ちょっと覗いたことあったっけね。社長かなあとも思ったんだけど、何十店舗も同じお店があるから、“まさかなあ…、フランチャイズかなんかの店長さんかなあ”って…。ほんとに社長だったんだぁ?」
「そうみたいよ。あれから20年。ここまで大きくしたんだよね。すごいねぇ! 会社の所得だって年間6億円以上とか…。招待状ももらったし、とりあえずあいさつにだけは行っとく? すぐ近くなのにほんとにご無沙汰だし…」
「うん、そうだね。お祝い包んで行く?」
「うーん、遠慮するって書いてあるからいらないんだと思うけど、Sさんじゃねぇ…。一応持って行って、雰囲気見て出すか出さないか決めよっかな?」
「そうだね、Sさんじゃぁねぇ」
というわけで、私が新装開店の無料ご招待に出かけることになりました。入り口にいた一番偉そうな人を捕まえて、
「すみません。大関と申しますけど、社長の奥さんいらっしゃいますか?」
「専務ですか?」
「はっ? ええぇ、社長の奥さん」
「はい、ちょっとお待ちください」
「あのう、Yちゃんっていうお嬢さん、いらっしゃいますよねぇ?」
「ええ、いらっしゃいますよ」
一番大柄で偉そうなおじさんは、社長の奥さんを探しに行きました。
専務?おいおいSさんの奧さんが専務?そんな柄じゃないよ。まるっきり人違いなんていうことないよなあと不安がよぎったりもして…。
待つこと数分。どうしよう、大丈夫かなあなんてドキドキしていると、そのおじさんが戻ってきて、
「4階にいらっしゃいますので、このエレベーターでどうぞ」
と4階まで案内してくれました。
つづく
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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