【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第181回「地域との関わり」
先日、北九州市から講演の依頼がありました。どうやら「男女共生」がテーマで、「主夫」の話をして欲しいらしい。ここのところ、主夫のパートが高じて社長になっちゃったので、電話をもらったことで、久しぶりに自分が主夫であることを思い出させてくれました。
まだだいぶ先のことだけれど、「何を話そうかな?」なんて思いながら、「主夫」について考えてみました。
そこで感じたことは、どうも最近「主夫」っていう言葉が簡単に使われすぎている気がする!っていうこと。
私が主夫を始めた27、8年前は、スーパーに買い物に行っても、男なんて私一人だったし、保育園に送り迎えをしているお父さんはいても、幼稚園に送り迎えしているお父さんなんて皆無。1990年ごろから、わが家のことがTVで紹介されるようになって、そういう状態も徐々に変わってきました。
言葉(単語)っていうのは一般化すれば一般化するほど、その言葉の持っている意味がどんどん広がっていってしまって、本来持っている中身が形骸化してきてしまう。そういう意味では「主夫」っていう言葉も「ずいぶん薄まっちゃたなあ」って感じます。あちこちでいろいろな物を読んでいると、「料理をするから主夫」、「掃除・洗濯をするから主夫」「子どもと遊んでやってるから主夫」なんていう記述がどんどん多くなってる。でも考えてみると、かなり昔から「共働き」って言われてた人たちなんかは、男の人も家事の一端を担ってたわけで、そういう人たちは「家事をやってる」とは言ってたけれど、「主夫してる」とか「主夫の仕事をしてる」なんていう言い方はしてこなかった。私が考えるに、「主夫」っていう意味に少し違いがあるんじゃないかと思う。最近の傾向として「主夫」=「炊事・洗濯・子育てをする男」。もっと極端に言うと「炊事・洗濯・子育てをちょっとでもしている男」っていうイメージが広がってきちゃってるらしい。「主夫」=「男の主婦」っていうイメージはどこに行っちゃったんだろう? どう考えても「主婦」というときの仕事の幅より「主夫」っていうときの仕事の幅の方が、小さい。
私が主夫をしてきて最も重要だと感じたのは、「地域との関わり」。これがうまくいかなくて「主婦」(主夫)はあり得ない。「××のスーパーで××が安かったよ」「××さんのおじいちゃん、亡くなったらしいよ」「××さん、旦那さんと別居したんだって」。ちょっと聞くと”男”が嫌う、くだらない噂話に聞こえるかもしれないけれど、そういう中に地域との関わりがある。もちろん、くだらない噂話でしかないこともたくさんあるけれど、そういう情報の中から、地域で助け合ったり、助けられたりっていうことが出てくる。それが、主夫(主婦)の仕事としては大きいんだなって思います。特に子育てをするうえでそれは顕著です。地域との関わり無くして、子どもや家庭は守れない。そうやって女性たちは、子どもや家庭を守ってきたんだなあってつくづく感じます。
最近では、車の利用でどんどん行動範囲が広がり、そういう「主婦」も少なくなってきているから、子どもたちの心も荒れてきちゃうんだろうなって思います。
やっぱり「主夫」も「主婦」としての機能をしっかり果たさないとね。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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