« 【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第187回「お母さんの同窓会 その1」 | トップページ | 【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第189回「危機管理」 »

2021年11月22日 (月)

【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第188回「お母さんの同窓会 その2」

4階に上がると、
「こちらのテーブルです」
ドキドキしながら「Sさん、Sさん」と思っている私には、一番はじにいたSさんがなかなか目に入らなかっただけでなく、Sさんの隣にいた女性が、
「ああぁ! 大関さーん!」
と私に声をかけたのに、それが誰だかすぐには頭が回らず、なお目でSさんを探していました。やっとSさんの顔が私の目に入り、ちょっとホッとして、
「どうもおめでとうございます。久しぶりですねえ。私そこのビルにいるので、招待状もらったんですよ」
「大関さんじゃない! ほらっ、この人Tさん。覚えてる? 今、お嬢さんは弁護士目指してるの」
あっ! やっと最初に私に声をかけた女性の顔が目だけでなく脳を通過し、はっきりと認識できて、
「わーっ、久しぶりですねえ。忘れるわけないよ。Tさんにはすごくお世話になったもん。あの時、男って私一人だったでしょ。それに若かったし…。遠足とか行っても、なかなかお母さんたちの集団には入りづらくて、麻耶と二人でお昼食べようとしてたんだけど、そのとき一緒にお昼食べてくれたのが、Tさん親子だったから。私とTさんとあと子どもたち二人だけでしょ、だからTさんだって、ずいぶん気を遣ったと思うよ。同じリス組の中でも特別なんだから。ほんとに何年ぶりだろっ?」
「20年くらいじゃない? 子どもが26歳だから…。でも、年賀状とかやりとりしてたから…」
「えーっ、20年? そんなかなあ? そのあとどこかで会わなかったっけ? いや、会ってないよねえ??? なんだかついこの間のことみたい。SさんもTさんも、全然変わらないよねえ」
まるで昨日まで子どもが幼稚園に通っていたような、そんな気がして、20年の空白なんてまったく感じられません。
そのうち、同じクラスだったIさんもやってきて、まるで同窓会。年少のリス組はたった11人のクラスで、いつもみんなで行動していました。誰かの家に集まって、学芸会の衣装を縫ったり、サンドイッチパーティーを開いたり…。
「ねえねえ大関さん、知ってる? リス組ってすごいんだよ。東大生も出たし、東北大医学部もいるんだから!」
「ひぇー、そうなんだぁ! Sさんとこみたいに大金持ちか、子どもがちょー優秀かなんだね。うちだけ? どうにもなんないのは…」
「麻耶ちゃん、身体こわしたんだよねえ? でも、今お子さんいるんでしょ?」
「ほんとに死ぬとこだったんだよね。奇跡的に助かって、今は子どもが二人。もう幼稚園だよ」
「大関さん、おじいちゃんなんだよねぇ?!」
「麻耶ちゃんてさぁ、色がすごく白い子でさぁ…。会いたいなあ! 今どこにいるの? 呼んどいでよ!」
「たはっ、今ごろ、子どもお風呂に入れて夕飯食べさせてるよ。もう少しで寝かせるとこじゃないかな?」
「はっ、じゃあダメかぁ」

子どもを育てるという部分での関わりって、普通の関係を超えた何かを感じます。私は男なので、普通の主婦の役割をこなしてきたとはいえ、なかなか普通の主婦でない部分がたくさんあります。けれども、リス組の11人のメンバーは忘れることのできない仲間であり、20年という長い空白があっても、会った瞬間に空白が埋まってしまうそんな関係です。この関係って、自分の小・中・高の同級生のつながりよりも、もっと強いもののように感じます。子どもを育てるということは、一人の力ではなく、こういう仲間に支えられてこそできたことなんだと改めて実感した一日でした。

 

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

 

 

 

| |

« 【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第187回「お母さんの同窓会 その1」 | トップページ | 【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第189回「危機管理」 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。