【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第175回「夏休み明けの問題 その1」
8月下旬にいくつかのフリーペーパーに教育カウンセラー資格取得講座の広告を出しました。その広告を見てか、9月に入ってからかなり多くご相談の方が研究所(浦和教育カウンセリング研究所)を訪れます。やはり夏休み明けというのは、いろいろな問題が一気に吹き出す時期なのです。「学校に行けない」「家で暴れる」「男の子(女の子)と付き合い始めた」等、親子間ではうまく解決できず、研究所を訪れることになるようです。
学校というのは、子どもたちにとって大きなプレッシャーになっているようで 、9月1日の朝には、姫路市の中学2年生の男の子が飛び降り自殺をするという事件も起きました。もちろん私たちが子どものころも、夏休み明けのプレッシャーというものがなかったわけではありません。宿題が終わらなかったり、その後に待ち受ける授業や部活動が嫌だったり、様々な理由で大きなプレッシャーを受けていたものでした。私も中学1年生の夏休み明けに、約1ヶ月不登校を経験しましたので、そのプレッシャーの感じというのはよくわかります。けれども、私たちが子どものころに感じた夏休み明けのプレッシャーというものは、ほとんどの場合1週間もすれば、感じなくなり解決していったものでした。現在もそういったプレッシャーを感じている子どもたちも数多く存在し、相変わらず宿題提出の日を欠席して慌てて家で宿題を終わらせたり、学校に到着するやいなや、「お腹が痛い」「頭が痛い」と保健室に駆け込んだりと、私たちが子どものころとった対応と同じような対応をしているではないかと推察されます。
ところが「夏休み明けの問題」も、最近傾向が変わってきているように感じます。2学期開始と同時に学校に行けないという現象は、昔も今も変わらないのですが、「1週間で解決」などというわけにはいかず、少なくともうちの研究所を訪れる子どもたちの多くは、かなりの長期にわたり「学校に行けない」あるいは「リストカット」あるいは「オーバードラッグ」などという状況を覚悟しなければなりません。これは、おそらく夏休みに原因があるのではなく、夏休みがきっかけとなり、その状況が現れたと考えるべきだからです。
夏休みというのは、学校がある時期と比べて、親子で過ごす時間が圧倒的に増えます。以前であればそういう時期というのは、家庭での生活により、学校でのストレスを解消する時期であったはずなのですが、第161回から7回にわたって述べてきた「言ってはいけないその一言」でも扱ったように、親子の関係が著しく歪み、学校がないということが「ストレス解消」どころか、かえってストレスを生み出すことになってしまっているのです。その結果、夏休みがきっかけとなり、親子関係の悪さを露呈し、長期にわたる苦悩と向き合わなければならなくなるのです。けれども、元々の親子関係が悪かったわけですから、夏休みをきっかけに問題が表面化したことは決して悪いことではありません。どんなことでもそうですが、問題の芽は早く摘んだ方がいいに決まっているのです。
さて次回は、夏休みに表面化した問題を具体的に説明したいと思います。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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