【子育てはお好き? -専業主夫の子育て談義-】第199回「湯布院から」
-湯布院から-
今日は、一度きてみたいと思っていた湯布院温泉からです。
第181回でちょっとお話しした北九州市立男女共同参画センターの講演会が今日(26日)でした。
“何で来よう(行こう)かなあ”と迷ったあげく、結局“自家用車”。依頼した方は、当然飛行機か新幹線と考えて、「チケットをお取りして送らせていただきます」と連絡してきてくれたんだけれど、耳下腺腫瘍ができたせい(原因はよくわからないんだけれど、約10年前に耳下腺に腫瘍ができてそれの進行に合わせて、気圧が低くなると激しいめまいと吐き気、それに発汗をするようになった)か、手術をして腫瘍を取った今も飛行機に乗るととんでもなくひどい状態になるので、飛行機はダメ。新幹線も速度が速いために気圧が下がって飛行機と同じようになることがあるので、ちょっと躊躇して、「遠いけど、九州まで行くのなら、まだ行ったことのない広島にも寄ってみたいし、湯布院にも行ってみたい。運転もめっぽう好きだし、“えーい、車にしちゃえ!”」。
うちからセンターのある北九州市小倉北区までは、1000キロちょっと。途中休憩や食事をしなければならないことを考えると約12~13時間はかかります。講演は午後1時30分からなので、その日に出たのでは間に合わない。1000キロという長丁場は、何が起こるかわからないので、前日の25日中に門司まで行っていることにして、25日の朝3時半に家を出ました。
いやぁ、やっぱり1000キロは遠い、遠い。一度飲み物を買いたくて、どこだったかのPAで止まって、浜名湖で休んで、大津で朝食。そのあと、一度どこかのPAでトイレ休憩。そして広島へ。やはり原爆ドームと資料館は重かったぁ。子どもたちには見せたいし、世界中の人たちにも核兵器の悲惨さを見てもらいたい。この悲惨さを伝えられるのは唯一の被爆国である日本だけなのだから、私たちが伝えなければいけない、と強く感じました。
門司は、門司港を見下ろす高台に立つ国民宿舎めかり山荘に泊まりました。とにかく値段の安い国民宿舎ということで、子どもの団体が泊まっていて、講演前の緊張感とは裏腹にちょっとわさわさしていたけれど、窓から眺める門司港の夜景は最高でした。
男女共同参画センターの企画した“男のライフセミナー”と題する講演会は、主催者や私たちの予想に反して、来場者は年配の方が圧倒的。“自分らしく生きる”ということをテーマに、“素敵なお産をありがとう”のビデオを見てもらい、私と妻で約30分ずつ話をしました。出産と子育てを通して、家族をどう作るかという話なので、年配の男性がかなりの割合を占める中で、うまく伝わるのかなあという不安はありましたが、九州という土地柄なんでしょうか、とても暖かく受け入れていただけたように感じます。九州の男性といえば、とにかく男尊女卑と思っていたけれど、ちょっと違った側面を見た気がして、九州人の柔軟性というか、人なつっこさというか、少し私の九州観が変わったかな?
今こうして、原稿を打っている湯布院の宿は、温泉街からちょっと離れたところで、とても静かです。耳を澄まして聞こえるのは、時々ONになるエアコンの風の音と部屋に付いている露天風呂にほんのわずかずつ流れ込む源泉の音だけ。パソコンのキーボードを叩く音がこんなに大きかったとは…。
というわけで、講演も終わり、ゆっくり湯布院の夜を満喫しようと思っていた矢先、携帯電話が鳴りました。娘の麻耶からです。
「うちの留守電に入ってたんだけどね、マコちゃん(息子の真)がケガして入院したんだって。SET(真の所属している三宅裕司が主宰する劇団)の人から連絡があったよ。この留守電聞いたら、折り返し携帯に電話してほしいって」
ああぁ~、せっかくの湯布院がぁ~。5人も子どもがいると、しょっちゅうこういうことばかり。まあ、これが子育ての宿命かなあ。どこかに出かけるときはいつも心配はしているんだけど、よりによってこんな遠くにきてる時じゃなくたっていいだろっ、まったく!
真のケガは、バク転の練習中に、アキレス腱を切って踏ん張れず、回転の途中で頭から落ちたらしい。なんでもしばらく意識がなく、肩と手が動かなかったとか…。救急車で運ばれて、入院したらしいけど、まあとりあえず、さっき真とも直接メールのやりとりができて、本人は“たいしたことない”と言っているので、予定通り、明日の朝、チェックアウトをして、帰ることにしました。
まったく、ゆっくり温泉にも浸かってられないよ。
くだらない話で長くなったけど、どうしてももう一つ。
24日の朝日新聞朝刊に「中絶希望者に里親案内」という記事が載りました。新聞の記事をそのまま受け取れば、福島県は「中絶を考えている人に産んでもらい、社会で子育てを担いたい」として、従来の「里親制度」を、人工妊娠中絶を減らし、出生率を高めるための施策として活用していく方針を決めたとか。どうやら、人工妊娠中絶をする人に、里親を紹介し、産んでもらえれば、子育ては里親がするということらしい。
これを見たときは、びっくりしました。生まれた瞬間から捨てられた子どもになっちゃってるわけで、親は子育てを放棄することを前提に出産をする。いったい子どもの人権は、どこに行っちゃったのでしょうか。“中絶して殺すよりはまし”という考えもあるのかもしれませんが、もしそうだとしたら、行政がやらなければいけない施策は、妊娠させないこと。ところが、これはそういう話じゃなくて少子化対策だという。こんな子どもの人権を無視したものが少子化対策になるはずがない。そんな風に育てられた子どもがさらに次の世代の子育てをまともにできると思っているのでしょうか。もちろん里親の子育てが悪いと言っているわけではありません。血のつながりのない子どもを引き取って育てている里親の人たちの善意をも踏みにじるようなことにもなると感じるのです。育てたくない人が育てたい人に子どもを譲る。まるで人身売買のよう。こんな人権感覚で、子どもはまともに育たない。教育より、「産めよ、増やせよ」なんですかねえ。そんなことあるわけないけど、もしそんなことで人口減に歯止めがかかっても、そんな国に未来はなぁーい!
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、地域情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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