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2021年7月

2021年7月20日 (火)

【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー】第174回「一足早い二学期」

いやーっ、夏休みももう終わり。”短かった”と感じるか”長かった”と感じるか、それは人それぞれだと思うけれど、その人が「夏休みをどう評価しているか」、「あるいは学校に対してどういう感情を持っているか」によって変わりますよね。
自慢じゃないけど私なんか、夏休みが長いなんて感じたことは、1回もありません。
ありゃありゃ、それは困った問題だ!
やっぱり早く学校に行きたいって思うようじゃないとね。それが本来子どもたちに抱いてもらいたい学校に対する感情ですよね。学校としては1日も早く学校に行きたいと思わせるような学校でないと、学校の存在価値が問われます。
8月25日、葛飾区の中学校全校が二学期を開始したという報道がありました。23区の学力比較で、葛飾区の中学校は確か下から2番目とか。
う~ん、葛飾区の教育委員会としても、なんとか状況を打破すべく、夏休みを短縮し、授業時間を確保しようっていうわけですよね。
これはもちろん葛飾区だけの動きじゃなくて、文部科学大臣が替わり、これまでの「ゆとり教育」の見直しが叫ばれる中、各地で起こっている動きです。「ゆとり教育」=「学力低下」というのは、非常にわかりやすい図式なので、あたかもそれが真実のように語られているけれど、以前にも取り上げたように、それが100%正しいかというと、どうも怪しい。果たして、子どもたちには圧倒的に不評の「夏休みの短縮」が学力アップにつながるのか?
しかも、毎日新聞の報道によると、
「同区教委は増えた授業時間の使い方を各学校に任せている。すべてを英語の授業にし
たり、基礎を定着させる学力向上教室、学習コンテストの開催などに取り組む学校があ
るほか、増えた授業時間の半分は、球技大会など行事の充実に使う学校が多いという」。これってなんだか区教委が「夏休みの短縮」を決定した理由と少しずれていませんか?どうも行政のやってることは、振りにしか見えない。もう少し一貫性のあるやり方はできないのかなあ?
徐々にではあるけれど、公立学校にもクーラーが設置されるようになり、ひどい暑さで授業ができないという学校の状況は、改善されつつあります。そういった意味では、「夏休みの短縮」ということが考えられるのも、まあ筋ではあると思いますが、報道によると現場は反対にもかかわらず、「増えた授業時間の使い方を各学校に任せている」と言うんだから、やってることのつじつまが合わない。
私は、学校の裁量ということで教育が進んでいくことに、どちらかと言えば賛成ですけれど、そこにはそれぞれの学校の力量とそれを支える行政機関との連携が必要だと思います。今回の「夏休みの短縮」は、どうもそういうふうには映らない。どこだったかのテレビ局が実施したアンケートによると、保護者の過半数が「夏休みの短縮」に賛成なんだそうです。これも本当に学力の向上を願ってのことなんだか、「早く学校に行ってくれないと手がかかる」ということなんだか、よくわかりません。学力向上を前面に出しつつ、保護者の本音は、後者かな? だいたい保護者は学校を信用してないんだからね。
塾をフランチャイズ展開している某会社からお誘いがあり、フランチャイズ展開の説明会に出席したことがありました。その中で、葛飾区、江東区辺りは、学力が低いという話がありました。大手の塾との競争は避け、そういうところを狙えと言うのです。いろいろ見せられたVTRに対し、あまりに質が低いので「フランチャイズには誰でも教えられるというマニュアル化をすることが必要というのはわかるが、大事なのは個々の教師の力量」と私が発言したことで、社長と大議論になってしまいました。塾経営の話の中で、「講師の面接の際、誰を採るかで迷ったら、とにかくイケメンを採ってください」という話もありました。しかも「私はいまカラオケ屋をやっているんですが、今後の事業展開として塾をと考え、参加させてもらいました」なーんていう人たちが、塾経営に関わろうとしている。
こんなに馬鹿にされているのに、現場と行政、さらに保護者までがバラバラでは、子どもたちの学力向上なんて夢のまた夢。学力向上がすべてではないけれど、「夏休みの短縮」なんて小手先の手段を使ってもたもたやってるんじゃなくて、もっと真剣に子どもたちの教育の根本を考えることが必要なのだと思います。

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