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2020年2月 9日 (日)

第167回「言ってはいけないその一言 -終章-」

第161回から前回まで「言ってはいけないその一言」ということで、親が子どもと接するときの基本的な姿勢を述べてきましたが、まだまだ具体例を挙げればきりがありません。一応今回でまとめて、今後機会があれば改めて取り上げたいと思います。さて、何度か述べてきた子育てに対するカウンセリングマインドの基本的態度を覚えていますか?
『“技術よりも態度であり、その基本的態度は、受容的態度、共感的態度、誠実さ”です。そして親の役割は、“子どもが自己の内面や現在の事態を理解し、自ら決定していくのを助けること”であり、子ども自身が自分の力で成長していくことを見守るということです』
それには、「子ども自身の成長していこうとする力をまず信じること」が必要です。
これは、肉体的にも、精神的にも言えることです。この連載の第6回から第8回までで扱った娘の麻耶(まや)の腎臓病の時のことです。主治医の赤城先生は現代医学では治療法が確立していない麻耶の病状に対し、子どもの生命力を信じ、「お子さんの生命力にかけましょう」とおっしゃいました。この赤城先生の言葉は、子育てにおけるカウンセリングマインドとも通じるところがあります。医学的な治療においても、子育てにおいても、最も大切なのは、本人の持っている力を最大限信じることです。信じた上で大人が何をすべきか考えるということが重要です。「うちの子はどうにもならない子だ」「放っておいたらどうなるかわからない」という発想は絶対にやめましょう。
そして、子どもの心に耳を傾けましょう。お子さんとの関係がそこから始められれば、「言ってはいけないその一言」は、ほとんど発していないはずです。親が子どもの心に耳を傾けられないケースにはいくつかあります。親が子育てを放棄したいケース、大人の都合で子どもに自由を与えたくないケース、勝手に子どものためと思いこんで押しつけるケース、わがままを認めることを耳を傾けることと勘違いしているケース。だいたいこの4つくらいでしょうか。子育てにおいては、常に自分の言動がこういったケースに当てはまらないかを検証していくことが大切です。そして、子どもの心に耳を傾けるには、常に客観的事実を正しくとらえ、自分自身の心を真っ白な状態に置くこと、それができて初めてカウンセリングマインドで子どもに接することができるのだと言えます。
カウンセラーは、常に自分自身の中にある偏見との戦いをしています。「今、目の前で話をしているクライアントの言葉は真実だろうか」、「本当にクライアントは心を開いているだろうか」と。時としてカウンセラーは自分の能力を過信し、自己に甘くなり、クライアントは「私だけには真実を語る」「私だけには心を開く」と思いがちです。けれどもそれは、単なる思い過ごしでしかありません。カウンセラーの勝手な思い込みの中からは、カウンセリングの効果は望めないのです。
「子どもを信じる」ということは、「子どもの言うことを鵜呑みにする」ということとは違います。子どもの言うことや行動を、真っ白な心で聞き、真っ白な心で見、子どもの心を理解する、それがまさにカウンセリングマインドであり、子どもの心に耳を傾けるということです。
子育てにおいて重要なのは、心が無垢であることです。大人が社会の中で生きていると、社会の中から様々な影響を受け、なかなか無垢ではいられません。子どもを大人の社会に合わさせようとするのではなく、我々大人の偏見を取り除き、子どもを信じて、真っ白な状態で子どもの心に耳を傾けることができれば、お子さんは必ず「いい子」(自分の足で大地を踏みしめている)になるはずです。
カウンセリングマインドの子育てということから、長々と述べてきました。啓蒙的な文章は好きではないのですが、かなり啓蒙的になりました。あまり長い文章は避けようと、だいぶはしょったので、説明不足もあるかもしれませんが、今までの連載のほんの些細なエピソードの中に何度も述べてきたつもりなので、お時間があったら読み返してみてください。次回は、あまり啓蒙的でない文章にしようと思います。
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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