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2019年11月10日 (日)

【「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」第143回】「学習障害と注意欠陥・多動性障害 その2」

ほぼ毎日、学校には行くけれど授業には出ないということの繰り返し。学校に行けない不登校などとは違い、学校からのプレッシャーを感じているわけではないことは話の節々からわかります。なんとこの中学校には同じような生徒が20数名いるとか。1学年が200数十名の学校ですから、まさに約10%がアスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害ということになる。

「いつも帰りが遅いんですよ。一度学校から戻って来るんですけど、“何か食べるんだからお金”って言って、お金を持ってはまた出ていくんです。休みの前の日は帰ってこないこともあります。“どこへ行ってたの?”って聞くと“友達の家”って言うんです」
「夜遅くまでどこにいるんですかねえ?」
「塾のある日はとりあえず塾には行っています。塾の後とかそれ以外の日は学校の隣の公園で友だちと話をしていたり、ゲームセンターに行ったりするみたいです」
「学校の隣の公園ですか?」
「ええ。早い時間は校門のあたりをウロウロしてることもあります」
「じゃあ、学校が嫌なわけじゃないですよねえ?」
「はい。“学校が面白くない”とは言いますけど、“嫌”とは言わないですね」
「そんな風だとすると、友だちもけっこういるわけでしょ?」
「そうですね。そういう種類の子たちばっかりですけど、何人もいて、それなりに仲良くやってるみたいです」
「そうだとすると、“病気”とか“障害”とか言うことじゃなくて、ただの“非行”ですよね」
「ええ。私はそう思うんですけど…」

校外学習を翌日に控えたある日、お母さんは学校から呼び出されました。とても不安だし、どう対応していいかわからないということなので、電話で学校とも話をして、学校とお母さんとの面談に同席することになりました。
教頭先生と担任の先生から、授業中に席に着かずにウロウロしていること、ときに教室を抜け出して近くのコンビニまで買い物に行ったりしていること、他学年の生徒と危うく喧嘩になりそうになったこと、それを止めようとした先生の胸ぐらをつかんだこと等、アスペルガー症候群または注意欠陥・多動性障害と思われるので、学校としてはこれ以上の対処のしようもなく、病院にかかるなり今日のようにカウンセラーに相談するなりしてほしいとまくし立てるように言われました。

「最近のお子さんの学校での様子はだいたいおわかりいただけたと思います。今日お越しいただいたのは、明日の校外学習の件なんですが、現在のお子さんの様子からしますと何が起こってもおかしくない状況なんです。明日は5、6名の班行動ですので、担任がついているわけにもいきませんし…」
「何かあっても学校としては責任が負えないということですか?」
「ええ、まあ。こちらとしては、“行かせないでください”とは言えないんですが、“ご家庭で判断してください”ということです。他にも数人いるんですが、ご家庭で“行かせない”と判断したお宅もありますし、本人が“行かない”と決めた子もあります」
「それじゃあ、学校として“行かせるな”って言ってるわけでしょ?」
「まあ、こちらとしては“行かせるな”とは言えませんから」
「“行かせるな”って言ってるじゃないですか!」

さすがにこの学校の対応にはびっくりしました。約2時間におよぶ学校との話し合いの中で、各教科担任の子どもたちへの対応の悪さ、学年を構成する教師集団のちぐはぐさ等、多くの点で学校の対応に反省すべき点があることを学校も認め、結局全員校外学習に参加させることになりました。

最近の義務教育における子どもたちへの対応は、とても投げやりに感じます。病気や障害を理由に学校としての責任を回避したり、問題が起こるとすぐ警察の力を借りたり…。それを必ずしも間違っているとは言わないけれど、「“集中し続けることが難しい”など、文科相の調査とほぼ同じ約75項目について、担任が3~4段階で点数化し、判定した」などというような、判定することによって責任を回避できる当事者が判定したことにより行政が進んでいくとしたら、こんなばかげたことはありません。
しかも、この判定によって教員数が増員されることもあり得るわけです。充分な教育環境を確保するために教員を増員することには賛成です。けれどもそれが学校の責任を回避するための安易な判定によって、子どもたちに病気や障害のレッテルを貼ることによって実現するのなら、到底受け入れることはできません。
全国平均を大きく上回った調査結果に、「アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害についての理解が進んだ」なんて言っている人もいるようですが、どうも埼玉県の教育行政は学校という組織に甘くて、子どもたちに厳しいんじゃないか、そんな気がしてなりません。

校外学習に参加した生徒たちは、もちろんまったく何事もなく帰ってきました。


※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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