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2019年11月10日 (日)

【「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」第144回】「下の動物園」

「もしもし、やっと車止められたよ。ぐるぐる回ったけど全然止められるとこなくて、結局鶯谷の駅の先まで来ちゃったよ。これから歩いて行くからもうちょっとかかるよ」
「大変だったね」
「ばかだよね。もうちょっと考えればよかった。お正月だもん、初詣の人もいるし、上野なんて混んでるに決まってるのに…」
「電車で来ればよかったね」
「そうだね。でもまあ、蓮(れん)と沙羅(さら)は車の方が楽だったんじゃないの。私だけちょっと歩けばいいんだから。しばらく歩いてなかったし、ちょうどいい運動だよ。今、どこら辺にいるの?」
「モノレールのとこ。これからイソップ橋渡って、山羊でも触らせてやろうかなと思ってさ」
「わかった。じゃあ、そばまで行ったらもう一度電話するよ」

お正月の上野はとても混んでいました。よく考えればわからないことじゃなかったのに、車で出慣れているので、つい車で上野まで来てしまってから大後悔。上野駅周辺の駐車場はどこも満車で長い列。1歳と3歳の孫を乗せたまま列に並ぶわけにも行かず、妻と孫を国立博物館の前で降ろして、私は駐車場を探しに上野駅周辺を一回り。鶯谷駅の近くにやっと空いている駐車場を見つけて止めました。寛永寺の境内を抜けて芸大の脇を通って、都美館(東京都美術館)の前へ。いやいや上野の広いこと広いこと。行けども行けどもなかなか動物園に着けません。やっとのことで入り口まで辿り着くとチケット売り場が長い列。
あああ~!

「今、入ったけど、どこにいるの?」
「今ねえ、キリンの前のレストランで食事させようとして、レストランに向かってるとこ」
「わかった。急いで行くよ」

私が入ったのは表門で東園の1番東側。キリンがいるのは西園。しかも1番西側ですから、動物園を縦断(横断?)しなくてはなりません。わかったとは言ったものの、
あああ~!
孫と一緒に動物園を楽しむのはなかなか大変。

レストランに着くと蓮と沙羅がちょうど外のショーウインドーを見ながら、何を食べようか選んでいるところ(そんなにしっかり選べるほどメニューはないけど)でした。ホットケーキとハヤシライスを食べることにして、中に入るとこれまた満席。食べ物の乗ったお盆を持ってキョロキョロと席を探している親子連れが何組かいます。私がオーダーに、妻が蓮と沙羅を連れて席を探すことに。
あまり待たずに座れたらしく、私がハヤシライスとホットケーキをお盆に乗せて運んでいくと妻と孫たちは中程の席に座っていました。
「今、大変だったんだよ。大人がみんな席の取りっこしてるから、ぎすぎすしててさ。隣のテーブルに座った人が椅子が足りなくてすごい形相で探してたから、どうぞってここのを回してあげたんだよ。そうしたらそれだけで、この辺の雰囲気がいっぺんに変わってさ。ほんのちょっとのことで楽しくなれるのに、なんで席なんか奪い合うようにしてぎすぎすしちゃうんだろうね」
「そうだよね。せっかく家族で動物園に来てるんだもんね」

食事がすんでから、キリンを見て、サイを見て…。西園を一回りして、帰ることになりました。
「帰りはモノレールに乗せてやろうか?」
「そうだね」
「ここは上野動物園でしょ。今いたのが西園で、サル山の方が東園だよね。小さいころね、東園が上の動物園で、西園は下の動物園だと思ってた。“下の動物園に行こう”って言って笑われたことあるんだよ。なんで笑われてるんだか全然わかんなかった。そうそう、コタツに“強”と“弱”があるでしょ。あれもね、“熱いから“きょう”じゃなくて“あした”にしてって言ってすごく笑われたことがあった」
「あなたっておかしいね」
「そうかなあ? みんなそう思わないの?」

つづく

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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