第118回「スイカ」
あごを引きながら、大きく息を吸ってー、はいっ、止めて!
今度は勢いよく下あごを突き出しながら、吸った息を一気に吐いてー!
「ぷっ!」
さーて、種はどこまで飛んだかな?
何の種が飛ばしやすいか知ってる?
もちろん一番飛ばしやすいのは、“サクランボ”!
種の大きさ、形状、そして重さ、どれを取っても申し分ないよね。
下あごを突き出すタイミングと息を一気に吐き出すタイミングがぴったり合えば、相当遠くまで飛んでいくよ。1m、2mなんていうもんじゃない。5mくらいも夢じゃないかも…。
サクランボの甘酸っぱさは大好き! 特に佐藤錦の美味しさは格別だね。大粒なやつはちょっといい値段はするけれど、小さめで粒があんまり揃ってないやつなら、スーパーでそこそこの値段で買えるから、旬のころにはいつも2パック買ってきて、一気に食べちゃう。最近は、「ぷっ」と飛ばせるような庭もないので、サクランボを食べ終わった私の前は種の山。知らない人が見たら、たぶん10人くらいで食べたと思うだろうね。ハハハッ!
さて、サクランボの次に飛ばしやすいのは、なんだと思う?
ターッ! 知ってるかなあ? “ザ・ク・ロ”
私が子どものころ、実家の庭にザクロの木があって、よく食べました。昔は庭にザクロの木を植えてる家が多かったよね。ザクロの木にはよくアゲハチョウが卵を産みにくるんだよ。最近は夏の終わりから秋にかけてスーパーでもザクロの実を見かけるけれど、スーパーで売ってるやつは大きいのにはじけてなくて、あのはじけた口から見えるルビーのような真っ赤な実が見えないのは残念だね。今考えると、酸っぱくて渋くて決して美味しいとは言えないザクロの実をけっこう夢中になって食べていたのは、一つ一つほぐして口に入れ、いっぱいになったところでその酸っぱくて渋い汁を吸っては、まるで機関銃のように口から、
「ぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷっ」
と出す、その“ほき出す行為”そのものが楽しくて、食べていたのかなあ???
そうそう、種のある果物といえば、スイカもあるよね。
スイカには2種類の食べ方(食べ方なーんてそんな大げさなもんじゃないよ)がある。一つはまず種をほぼ全部取ってから食べる方法(この方法は子どもがまだ小さいころ自分で種を出すことができないので、大人が先にとってやってからスイカを渡す方法)、もう一つは適当な大きさに切ったスイカを種を取らずにそのまま食べて、口の中にたまった種をあとから出す(時には“ぷっぷっぷっぷっぷっ”とね)方法。わが家の努(つとむ)は口の中でうまく種がより分けられないらしく、スイカを食べるのが苦手でした。
昨日(19日)は、浦和のお祭りで、わがショップのあるエイペックスタワーも休憩所になっていて、子どもたちが汗びっしょりになりながら、御輿を担いできました。休憩所に用意されたのは、ジュースやラムネ、スイカに唐揚げ。すごい暑さの中を担いできたので、まずジュースやラムネを夢中になって飲みます。私なら、次は当然スイカにいきたいところですが、どうも子どもたちの行動は違いました。スイカは避けて、ほとんどの子が唐揚げへ。食べているのを見るだけでも暑そう。大した量じゃなかったのに結局スイカは余っちゃいました。
どうも最近の子どもたちは種を出すのがおっくうなのかなあ???
ちょっとそんな感じ。確かに舗装された歩道の上に種をほき出すわけにもいかないし、食べたあとに手はベタベタするし、味もはっきりしてないし…。
もしかして、スイカって小さくカットしてパックに入ってるのをフォークで食べるって思ってるのかなあ???
私が子どものころは4分の1に切ったやつをイチョウ切りにして、ほっぺたには汁をつけ、肘からはボタボタと汁を垂らしながらスイカを食べたもんだけど、あんなスタイルで果物を食べるのなんて、今は流行んないンかもね。
そう言えばわが家でも、桃を食べるとき皮を剥いて一気にかじるのは私だけ。みんな上品にナイフでカットして出してやらないと、甘くて美味しい桃でも誰も手を出さないもんね。ちなみに私は桃を食べるときは、“流し”に立って、汁が垂れるのもおかまいなしに、一気にかじっちゃいます。丸かじりするときの幸福感といったらなんとも言えないんだけどなあ…。
**7月20日(火)掲載**
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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