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2019年11月 4日 (月)

第121回 「誕生日 その2」

  麻耶(まや)が通っていた幼稚園では、毎月1回その月に生まれた子どもたちを舞台に上げて、「お誕生会」をやっていました。
 「お誕生会」には保護者も招かれ、保護者の見守る中、、誕生月を迎えた子どもたちは、舞台の上で園長先生から名前を呼ばれ、「お誕生日おめでとう」と書かれた賞状とプレゼントを一人一人手渡されます。誕生日というのはみんなそれなりに興奮をするものだから、舞台に上がっているという状況も手伝って、
 「××さん」(園長先生は男の子、女の子にかかわらず、みんな“さん”づけで呼んでいました)
 という落ち着いた園長先生の呼名とは対照的に、ほとんど例外なくみんな、
 「ハーイ!」と興奮してうわずった声で返事をします。
 いよいよ麻耶の番です。
「大関麻耶さん」
 という園長先生の声に、圧倒的に低い、まるで大人の男性のような声で、
 「はーい」
 と返事をしたので、思わず会場から笑いが漏れました。
 誕生日を祝ってもらった子どもたちは、このあと園庭で保護者と一緒に記念撮影をします。麻耶は3年間幼稚園に通っていましたが、3年間一緒に「お誕生会」をやった子がいて、誕生月が同じというだけなのに、どういうわけかこの子とは他の子とちょっと違った関係を築いていました。

 「お誕生会」と言えば、幼稚園や学校でやるものばかりじゃないよね。誰でも何回かは自分の家に呼んだり、友達の家に呼ばれたりしたことはあると思うけれど、これがけっこう問題。
 自分が誕生日の時は、誰を呼ぼうか迷っちゃう。そして、友達に呼ばれたときは何をプレゼントに持って行こうか迷っちゃう。結局どっちの場合も迷うんだけれど、一番タチが悪いのは、「××ちゃんは呼ばれたのに、なんで私は呼ばれないんだろう?」っていうやつ。誕生日に誰を呼ぶかなんて、呼ぶ側の自由なんだから、周りがガタガタ言うような性質のものじゃないんだけれど、「私が一番仲のいい友達」なんて思っているのに呼ばれなかったときのショックは大きいよね。自分だけが呼ばれると思っていたら、いつも悪口の対象になってるとんでもない奴まで呼ばれてたりしてね。そんなのも嫌だよね。「なんだ、もしかして他の奴の前では私の悪口言ってるんじゃないの?」なんて疑心暗鬼になっちゃう。誕生会がきっかけで仲が悪くなっちゃたりしてね。そんなことよくあるんじゃない?

 結局ウチの子どもたちは、ほとんど友達を呼んだことがなかったね。上の2人の時には、何度かあったように記憶してるけど、兄弟が多くなってくるとウチの中で誕生会やるだけでけっこうな回数になっちゃうし、プレゼントもそこそこもらえるし…。5人の子どもと私と妻とおじいさん、おばあさんまで誕生会をやってるからね。それだけでも1年に11回。
 まあ、お友達を呼ぶときは、あんまり問題が起きないようにそこそこにね。
 小学校2年生の時、私の「お誕生会」をやったんだけど、母が用意したごちそうは、こんにゃくの煮付け、きんぴらごぼうに赤飯。 飲み物は麦茶。今から40年くらい前の話だから、無理もない部分はあるけれど、友達の家に呼ばれたときは、唐揚げにサラダにケーキにフルーツ、飲み物はカルピスだったよ。さすがに40年経った今でも、この惨めな気持ち、ちゃんと覚えてるんだよね。
 毎年、子どもの誕生日を迎えて一番嬉しいのは、お父さん、お母さん。その気持ちがしっかり子どもに伝わるといいんだけどね。


**8月9日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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