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2019年11月 4日 (月)

第120回「誕生日 その1」

 「なんでまたよりによってこういう日に事故なんかあるのかなあ。それも川口線入ってすぐのとこだよ。8㎞40分だってよ。しょうがないなあ、川口線やめて池袋線を廻るよ」
 ドイツでモダンダンスのダンサーをしている努(つとむ)が4年ぶりに帰ってくる日。7月28日午前7時50分成田着ということだったので、インターネットで到着時刻が約30分遅れていることを確認して、6時半前にわが家を出ました。妻と私、翔(かける)に沙羅(さら)が私の車、電車が大好きな蓮(れん)は麻耶(まや)と2人でスカイライナーで、成田に向かいました。
 外環の浦和ランプに近いわが家から成田空港までは、高速道路を使って約1時間半。多少の渋滞があっても2時間はかかりません。ところがこの日は外環に乗る直前で事故を察知。自然渋滞ならともかく事故では、どのくらいかかるかも想像ができず、首都高池袋線を廻ることになりました。板橋から中央環状線に入るつもりが運悪く、その先の中央環状線でも事故。
「ダメだこりゃ。箱崎を廻ることにするよ」
というわけで、成田に着いたときには、電車で成田に向かった麻耶と蓮が到着ロビーに出てきた努を出迎えて話をしていました。4年ぶりに見る努はほとんど変わりがなく、元気そうでした。孫の蓮と沙羅はこの時初めて努に会いました。ところが不思議なもので、まるで生まれたときから一緒に暮らしているような懐きよう。蓮も沙羅も努にまとわりついて離れません。おそらく自分たちの母親と努の様子から、安心していい相手だということを瞬間的に感じ取るのでしょう。

 空港で軽く食事をし車に乗り込むと、「努歓迎」のためのスケジュールの確認です。
「とりあえず家に寄って、その後、ペットショップと陶芸教室とカウンセリング研究所を見に行く。今日は真(まこと)が来るって言ってるので夜はお寿司かなんか食べに行こう」
「うん。それでいいよ」
「31日が蓮の3歳の誕生日だから、その日はカウンセリング研究所の研修室で誕生パーティ。麻耶が一生懸命、弘子ちゃんや真に連絡とって人集めしてたよ。“25日がパパの誕生日でしょ、31日が蓮の誕生日でしょ、それにオーちゃん(努のこと)歓迎の合同のパーティやるから”って…」
「わかった! やろう、やろう! あっ、そうそう。今一緒に踊ってるダンサーで、ちょっと仲良くしてる黒人のイギリス人がいるんだけどさあ、その子のお母さんとウチのお母さんと誕生日が同じなんだよ!」
「へーぇ。討ち入りの日なんだあ?」
「そうそう、12月14日」
「いくつくらいの人?」
「だから、誕生日同じなんだよ」
「?」
「同じ日なの!」
「1941年っていうこと?」
「そうそう」
「へーぇ、そりゃあめずらしいねえ。歳まで同じっていう人はあんまり聞いたことない」
「なんだかさあ、直接は全然知らないのにすごく親しい気がするでしょ? それが不思議だよねえ。誕生日が同じっていうだけなのに…」
「なんだか昔っから知ってるような気がするよ」
「タハハッ、そんなわけないのに…」

 人間って、自分の大事なものと同じものを持っている人がいるととっても親近感がわくみたいです。
さて、蓮くんの誕生日。何をプレゼントしようかなあと、妻と一緒に本屋さんに行きました。主人公の魚のひれがキラキラ光ってとってもきれいな本と「泣いたあかおに」(子どものころ読んだ「泣いたあかおに」をどうしても読んでやりたいと麻耶が言うので)、ちょっと変わった作りになっている魚の図鑑、それに沙羅ちゃん用の子熊の絵本です。
小さい子どもの誕生日のプレゼントってとっても困るけど、どれもとてもかわいい本だったので、けっこう喜んでくれているみたいで、昨夜は「本読んで、本読んで!」とずっと騒いでいました。毎晩、この調子で騒がれるとちょっと困るなあと思いつつもなんとなくどこか嬉しいよね。

次回も誕生日の話。


**8月2日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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