【「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」第138回】「雷さまの作ったかき氷」
「赤ちゃんてどこから生まれてくるの?」という子どもの問いに、真正面から答えず、「ここが割れて生まれてくるんだよ」と盲腸の傷痕を見せて答えたり、「コウノトリが運んでくるの」とか答えたりしてる人はいない?
まさか「橋の下から拾ってくるんだよ」なんて答えちゃう人はいないだろね?
妻の担任してた生徒に、高校1年生まで「盲腸の傷痕から生まれてくる」って思ってた生徒がいたっていうからビックリしちゃった。
冗談みたいな話だけれど、嘘じゃないらしくて、小学生のころにお母さんから聞いた話を信じてたらしいよ。やっぱり嘘はまずいね。心から大人を信用できなくなっちゃう。
子どもって、別に深い意味を持って聞いてるわけじゃなくて、ただ単にどこから生まれてくるんだろうって思ってるだけなんだよね。だからごまかさずに真っ直ぐ答えた方がいい。性交と結びつけて考えるようになるのは第二次性徴のころから。もし、小さいころからそんなニュアンスで質問をしてきたとしたら、そりゃあ「親の教育が悪かった」って反省した方がいいかもね。
先日、福島の二岐(ふたまた)温泉に行ってきました。いろいろな経緯(とってもややこしいのでここでは省略)で、私の両親と私と妻、それに孫の蓮(れん)と沙羅(さら)の5人という変(?)な組み合わせ。
沙羅(1歳9ヶ月)はもちろんのこと、蓮(3歳4ヶ月)もまだ一人で何でもできるという年齢ではないので、いやいや大変大変。行きの高速道のサービスエリアでの食事から大騒動。わがままを言うわけではなく、いい子はいい子なんだけれど、とにかく手がかかる。食べさせようとすれば一人で食べたがる、一人で食べさせればそこら中めちゃくちゃで洋服もダラダラ。
「子育てってこんなに大変だったっけ?」と今までやってきたことなのに今さらながらの感慨(?)にひたりながら、「やっぱり子育ては若いうちに限る」なんて考えちゃったりして…。これで本当に無事一泊してこられるのかなあ???
旅館に着くと蓮も沙羅も大興奮。こわーいママはいないし、優しいじじ・ばばにひいじいちゃん、ひいばあちゃんまでいるわけだから当たり前。もちろん他人に迷惑がかかるようなところでは大騒ぎをするような子たちではないんだけれど、部屋の中では大運動会を繰り広げることに。
それだけならまだしも、もっとたちが悪いのは私のおやじ。旅館に着いた途端に「酒持ってこい」状態。私は全然飲まないのにまったくこのおやじはアル中だよ!
結局、食事になる前に部屋で4合、食事のときに3合飲んじゃってべろんべろん。
孫はチョロチョロ、おやじはべろんべろんで、ゆっくり食事どころじゃない。
ああ、なんということか!
とにかく部屋を2部屋にしといてよかったよ。
なんとかおやじとおふくろを隣の部屋に押し込んで、ホッとしたのもつかの間、またまた蓮くんと沙羅ちゃんが大暴れ。昼寝をほとんどしていなかったので、すぐおとなしく寝てくれるという予定だったのにとんでもない。布団の周りをぐるぐると走り回る、ちょっと目を離すと冷蔵庫の中の飲み物を全部廊下に並べちゃう。ついに私と妻はダウン。どうやら最後に残ったのは沙羅らしく、気がついてみると沙羅は変なところで寝ていました。
翌朝。
妻が外を指さして騒いで(無言で)います。
「ああ、雪だあ!」
外はすごい雪です。降り始めてそれほどの時間ではなさそうなのに10㎝近く積もっているでしょうか。外を眺めていると蓮も目を覚ましました。外の様子に気づいた蓮は、目をまん丸くして、
「あーっ!」
と声ともつかないような声を発して、じーっと外を眺めています。蓮は雪をまったく見たことがないわけではありませんが、今まで蓮が見た雪は、自宅の近くに降ったほんのわずかな雪。それも果たして記憶にあるかどうか…。
「蓮くん、露天風呂行こうか?」
「うん!」
と露天風呂に行くことに。
露天風呂は、坂を下って渓流のすぐ脇にあります。とにかく寒いのなんのって。慌てて湯船に浸かり、蓮と二人で雪だるまを作りました。
「雪って冷たいでしょ。でも、お湯の中にはいるとすぐ溶けちゃうんだよ」
「ほんとだ! 雪ってなんでできてるの?」
「雪ってねえ、かき氷なんだよ。ほらっ、食べてごらん」
積もったばかりのきれいな雪を蓮の口の中に入れてやると、
「わーっ、かき氷だ!」
「きっとお空の上で、雷さまがかき氷をいっぱい作ってるんだよ」
蓮は、空から降ってきたかき氷をいっぱい食べました。
「そろそろ朝ご飯だから出ようか?」
「蓮くん、朝ご飯食べないよ。かき氷でお腹いっぱいだもん!」
露天風呂から出てから妻に、
「“かき氷”って言っちゃったのまずかったかなあ? 素材としては嘘じゃないんだけど本当にかき氷なわけじゃないもんね。嘘ついちゃったみたいで…」と言うと、
「“雷さまが作ったかき氷”って確かに嘘だけど、でもそれって嘘じゃなくて夢を与えたんじゃないの?」
「なるほど。それならいいんだけどさ。ちょっと考えちゃった」
家に帰ってくると、食器棚の上に乗っているウルトラマンのかき氷器を見つけて、
「じいちゃん、かき氷作って食べよっ!」という毎日が続いています。
参ったなあ! あんなこと言わなきゃよかった…
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。
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