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2019年11月 4日 (月)

第119回「サービスエリア」

「間に合うかなあ?」
「んー、どうだろうねえ…」
「間に合わなかったらバッカみたい。なんで早く出てきたかわかんないじゃん」

妻の両親は熊谷で2人暮らし。父が92歳、母が88歳になりますが、週に数回ヘルパーさんを頼んで、なんとか2人で暮らしています。そんな両親の昼食や夕食の世話をするために、妻があるいは妻と私が、週に一度くらいの割で熊谷を訪れることがあります。この日は、昼食を作りに妻と私で熊谷へ向かっていました。以前は国道17号を使って熊谷まで行っていましたが、ここのところ渋滞がひどく、わが家から熊谷まで、2時間以上もかかってしまうことがあるので、ちょっとお金はかかるけれど、今では東北道を使って加須経由で行くか、関越道を使って東松山経由で行くことにしています。

「どうかなあ? あるかなあ?」

午前10時くらいに家を出て、関越道経由で行くことが多いのですが、この日は30分ほど早く家を出ました。目的は高坂サービスエリアのメロンパン。これが一度食べたらやみつきになっちゃう美味しさ(メロンパンの宣伝をしているわけじゃないんだけどね。カハハッ、とりあえず私の好みだっていうことにしておいてください。どうも妻は私ほどは感動してないみたいだから)ですが、関越道経由で熊谷に向かうときは必ず高坂サービスエリアに寄ることに。ところが人気があるらしく、ちょうど焼き上がったころに行かないと買えないことが多いのです。サービスエリアですから、定時に焼き上がっているというわけでもないらしいのですが、ここのところタイミングが悪く、3回連続して買えなかったので、この日は若干時間をずらして、少し早めに出てきました。

「あああああああ! なーい!」
「・・・」
高ぶっていた気持ちが一気に引いて、頭から首筋にかけてが、なんかこうヒンヤリとしてくるような寂しさ…。
“ダーッ! 今日は絶対買うー!”
「おばさん! 次のメロンパン焼き上がるまでにどれくらいかかります?」
「うーん、まだこれからオーブンに入れるから、40分はかかると思うよ」
「ホーッ、40分…」
妻にむかって
「ねえねえねえ、食事するよ」
「うふふっ、そう言うと思った」

結局メロンパンが焼き上がるまで、レストランで食事をすることに。
ったく、いい大人がそこまでこだわるかねえ?!
なんとかメロンパンをゲットして熊谷に着いたのは正午。これじゃあ、17号を使った方がよっぽど早く着いたかも…。

22日、熊谷うちわ祭りの最終日はちょっと熊谷のウチに顔を出すことになりました。仕事をちょっと早めに切り上げて熊谷に向かった私が着いたのは午後8時半。父と母が食べた夕飯の残りをちょっと食べて帰路に。
この日は、えらく食欲旺盛で、
「ねえねえ、ウチに帰っても御飯ないって言ってるし、これから麻耶に炊かせて食事の支度するのもおっくうだから、ステーキでも食べて行っちゃおうよ」
ところがちょっと時間が遅く、お目当てのステーキやさんはタッチの差で“CLOSE”。加須方面に向かっていたので、
「しかたないから、蓮田のサービスエリアでいいか…」
ここのところ関越道を使うことが多かったので、蓮田のサービスエリアに寄るのは久しぶりです。
「あっ、変わってる! この前工事してたけどこんなにきれいになったんだあ。早く入ってみよう」
ところが、入った途端に愕然!
「なにこれ?! 吉野家じゃん!」
サービスエリアにお店を出していたのは、“らあめん花月”“吉野家”“麺処すいれん”(すいれんていうのはよく知らない)。
「えーっ、なんでこんなんなっちゃったの?! あのローカルな豚汁定食とコロッケ定食でよかったのに…。吉野家で食べるんだったら、なにも高速道路のサービスエリアなんかに寄らないよ。ローカルでいろーんな味のものがあって、その中から美味しいって思うもの探すのが楽しかったのにね。知ってる味のものなんてこんなところで食べたくない。こういうところからもどんどん個性が失われて行っちゃうのって嫌だね。こういう時代だからこそ、どんなところにもいろいろな顔があっていいのにね。人も同じように個性が奪われてっちゃうのかなあ? 安全な方、安全な方ってね。ちょっと寂しいね。なんだかこうなっちゃうとあのまずかったラーメンが懐かしいよね。きーめた! 熊谷に行くときは絶対関越道。あのメロンパンは高坂のサービスエリアにしか売ってないもんね」
(2019年11月4日現在、本文中のメロンパンは販売していません)


**7月26日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。


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   Re: 第119回「サービスエリア」 2004/07/28 3:52:30  
 
                      りんりん

 
  そういえば、北陸道だったか、東北道だったかのS.A.に寄った時、モスバーガーがあったんですよ。私的には、まずい そば かなんかを食べなくてすんだんで、助かったんですけど、大関さんが言うように社会がどんどん画一化されていくことって、子供を画一化することにつながっているんですよね。個性重視って言いながら、大きな部分で反対に向かっているのは心配です。
もっとも、私は吉野家歓迎ですげど・・(笑)
子育てはS.A.にならないように気をつけます。
  
元の文章を引用する
 

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   画一化 2004/07/31 13:31:06  
 
                      大関直隆

 
  ご意見ありがとうございました。
価値観が非常に多様化しているなかで、
S.A.も個性的になりつつあります。
温泉やマッサージ、水族館、スキー場…
そういう意味では、個性化が進んでいる(実はこれも自分がわかっているサービスを求めるという点で画一化なんですけれどね)と言えるのに、
一方で吉野家やモスバーガーのような店舗も増えている。
味がわかっているという安心感や
日頃の自分の行動範囲から出たくないというような
オタク的な発想がそこにはあるのだろうと思います。
本来、高速道路のS.A.などというところは、
子どもたちにとって心が浮き立つ場所であるはずなのに、
そこに子どもの日常と同じものしかないということが、
子どもの無感動を生みはしないかと気になるところです。
小さい頃にはとても表情が豊かなのに、
大きくなるにしたがって、表情が消えていく。
そうかと思うと、異常なまでに陽気になったり、
激しく怒ったりする子がいる。
日常の生活の中から、
”ごく平凡な感動”が消えるだけで、
子どもたちの心は歪んでいってしまうのではないかと思います。
安心を求めて社会の画一化が進んでいくのではなく、
不安な中にも喜びや悲しみや感動がある世の中になったら、
子どもたちも感動の持てる人間に成長していくのでしょうけれど。

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