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2019年11月 6日 (水)

第123回 「ペットボトル」

 私の母がTVを見ながら言いました。
「最近みんな、ああやってペットボトルだろ。昔は必ずお茶だったのにねえ。だからお茶なんて売れるわけないよ」
 TVの画面には何かシンポジュームのような場面が映っていて、舞台の上に並んだ人たちの机の上には、一人に1本ずつ500㏄入りのペットボトルが用意されていました。よく見ると、客席の方に並んだ机にも同じようにペットボトルが用意されています。
 「ペットボトルって便利なんだよ。ちょっとした集まりの時だって、はじめに並べておけば、いちいち来た順にお茶を入れる必要ないし、飲まない人はそのまま持って帰ればいいし。それに狭い机の上に資料広げたりしなきゃならないときも、飲んでないときはフタ閉めておけば、こぼす心配もない。湯飲みが置いてあると、資料広げたときにこぼす人けっこういるでしょ。資料にお茶が染みて黄色くなっちゃったりしてね」
 「冷たいのも温かいのもあるしねえ…」
 私の父は市役所に勤める公務員でしたが、退職後お茶屋をしています。道路に面した自宅を改造したほんの小さな店舗で、母が店番、父が配達をしています。どうも商売をして儲けようというよりは、父も母も何もしないでじっとしていられるような性格ではないので、とりあえず“暇つぶしにやっている”といった感じです。
 「会場の中はエアコンが効いてるから、しばらく中にいる人は温かいお茶でもいいけれど、着いたばかりの時に熱いお茶出されてもねえ…。それに温かいお茶を出すのって人手がいるからね。途中で注ぎ足したり、あと片づけが必要だったり…」

 まったくペットボトル文化は、全国を支配していますよね。
 昔は飲み物を持って行くといえば、水筒って決まっていたけれど、飲み物の容器がビンや缶だけでなく、フタの閉められるペットボトルの出現で、最近ではすっかり水筒からペットボトルに取って替わられちゃったみたい。ペットボトルに入っているものがジュースやコーラのような嗜好飲料だけのころには、それほどの広がりは見せなかったけれど、緑茶や水といった飲み物がペットボトル入りで販売されるようになったことで、前出の会議やシンポジュームといった場面、運動会や遠足といった子どもたちの生活の中にもどんどん入り込んでいっています。たぶんお茶や水なら、いつどんな状況でも飲んでいいっていう意識があるからだと思うけれど。

 毎年夏休みに、親子の陶芸講座を開いています。下は幼稚園の年中のお子さんから、上は小学6年生までのお子さんが、お父さんやお母さんと一緒にオカリナを作ったり、カップを作ったりします。基本的には、親が子どもの制作を手伝うということではなく、大人も子どももそれぞれ作品を作ってもらうということで進めているのですが、中にはどうしても“子どもだけで”という人もいます。
 今年も、何組かそういう親子がいました。“親子で”と銘打っているにもかかわらず、“子どもだけで”と言ってくるわけですから、当然それだけでも他の人からはちょっとはずれているわけだけれど、そういう人はよくトラブルを起こします。今年は5年生の親子でしたが、“子どもだけ”ということだったのに、お母さんがずっとそばに付き添っています。確かに作っているのはお子さんだけなのですが、お母さんが最初から最後まで、ずっとそばにいるのです。講座も半分以上が過ぎ、終わりに近づいたころ、お母さんがバックの中からペットボトルを取り出すと、自分の子どもと一緒に来ていた子どもの友達に飲み物を飲ませ始めました。それがまたひどいことに、ストロー付きのフタで、子どもは一切ペットボトルに触れるわけではなく、お母さんがペットボトルを持って、ストローから飲ませているのです。
 子どもだけなら注意するのですが、全体の雰囲気が悪くなってしまうのが嫌だから親子の時にはかなり注意しにくいもので、こういうときは無視するしかありません。5年生の後ろには1年生が2人で作業をしていたので、飲み物を飲んでいることに気づいた1年生2人も当然のことながら「私ものどが渇いた」と言い出してしまいました。終わりも近づいていたので、1年生のお母さんも、子どもの要求には応えず、それでその場は収まったのですが、さすがに私もあきれるばかり。
 必ずしも人と同じにしろとは言わないけれど、もう少しマナーは守らないとね。
 ペットボトルのような便利なものが出てきて、いつでも自由に飲み物を飲んでいられるようになったりすると、人との関わりの中で生活しているっていう意識がだんだん薄れてきてしまうんだよね。
 5年生の子どもたちが飲みたがったわけではなくて、お母さんが自分の子どもにだけ気を遣ってた。そういうことがないように、くれぐれも注意注意!
 気を遣うときは自分の子どもはあとにして、まず周りの子に気を遣わないとね。


**8月30日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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