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2019年11月24日 (日)

第154回「子どもの自立を助けるもの」

朝。
「じいちゃん、粘土遊びしよっ!?」
孫の蓮(れん)が寄ってきます。
「粘土あるの?」
「うん」
「買ったの?」
「うん」
どうやら昨日、粘土遊びのセットを買ったらしく、粘土のセットが入った袋を持ってきます。母親の麻耶(まや)と遊んだときに、電気コタツの上に置くテーブルを作業台代わりにしたようで、ベンチ型のおもちゃ箱の裏に立てかけてあるコタツのテーブルを出しに行きました。おもちゃ箱の脇にちょうどコンセントがあり、何本かのプラグが刺さっているため、電気のコードが邪魔をして、蓮一人ではうまくテーブルが引き出せません。蓮は粘土遊びをするかしないかの返事をちゃんとしていない私を、粘土遊びの仲間に引き入れることでテーブルを出してもらおうと、私のところへやってきて、
「じいちゃん、粘土あそびしよっ!?」
と再び寄ってきました。
そこへ、たった今、目を覚ました妹の沙羅(さら)がやってきました。沙羅は、蓮が「粘土あそびしよっ!?」と言うのを聞いていたらしく、
「ねんど、ねんど」
と言いながら、私のそばへ寄ってきます。蓮は、私に念を押すように「粘土遊びしよっ!?」ともう一度言うと、またテーブルを出しに行きますが、やはり思うようにいきません。すると、それを見た沙羅が私に向かって「しよっ!?」と粘土遊びの仲間に入ることを促してから、お兄ちゃんを手伝おうとテーブルを一緒に引っ張りに行きました。けれども、二人の力を合わせてもテーブルは引き出せません。
「粘土遊び」の仲間に入るか、入らないかの返事をはっきりしていなかった私が、テーブルを出すのを手伝いにいくと、蓮はとっても嬉しそうにニコッと笑いました。沙羅もよほど粘土遊びがしたかったらしく、両手をあげて、
「ねんど、ねんど!」と飛び跳ねています。
蓮が袋から粘土と粘土遊びの道具をテーブルに出して、いよいよ3人で粘土遊びの始まりです。
「あれっ? 蓮くん、粘土どこ?」
テーブルの上に道具がたくさん広げられましたが、粘土が見当たりません。
「ここに入ってんの」
とフィルムのケースのようなものをいくつか、蓮が私に差し出しました。中を見ると、それぞれのケースに赤や黄色や緑などの粘土が入っています。一色がせいぜい卵1個分くらいでしょうか。
“えーっ、粘土ってこれだけ?”
コタツのテーブルいっぱいに広げられた粘土遊びの道具の多さと、あまりにも小さなケースに収められた主役であるはずの粘土の少なさにびっくりしました。
「じいちゃん、何作ろうかな? お船を作ろう!」
黄色の粘土と船の形の粘土型をとり、ケースに粘土を詰めました。ケースでギュッと粘土を挟むと「お船」のできあがり。こんなに上手に「お船」を作ったのは初めてです。
「今度は車を作ろう!」
今度は緑の粘土を車型のケースに詰めて、ギュッと挟むと、
「ハーイ、車のできあがり!」
下敷きのようなプラスチックの板には、葉っぱや魚や動物といった型がいっぱい付いています。その他にもまるでクッキーの抜き型のようなハートや星といったものがいっぱい。
確かに便利といえば、便利だけれど、船も車も魚も熊も、ぜーんぶ同じ作り方であっという間にできちゃう。“船ってどういう形だっけ?”とか“熊の耳ってどこについてるの?”なんて考える必要なし。やっているうちにちょっとむなしさを感じて、
「おじいちゃん、スパゲッティを作ろっ!」
白い粘土でお皿を作り、オレンジの粘土をながーいヒモにして麺を作りました。お皿に盛った麺の上に、緑の粘土で作ったピーマンとピンクの粘土で作ったハムを乗せて、
「ハーイ、スパゲティのできあがり!」
スパゲティができたところに、おばあちゃんも加わって、4人でとっても美味しくスパゲティを食べました!

つづく


**4月4日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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