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2019年11月 9日 (土)

【子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー 第135回】 「権利と義務の逆転」

 11日の朝日新聞に「都立高「奉仕」必修へ」という記事が載りました。

 東京都教育委員会は07年度から、すべての都立高校に「奉仕体験活動」を必修教科として導入する方針を固めた。05年度は単位認定などに関する研究校20校を指定する意向で、新年度予算で300万円を財政当局に要求した。学校教育での奉仕活動を巡っては、森首相当時の私的諮問機関「教育改革国民会議」で義務化が検討されたが、「自発的でないと意味がない」などの反発で義務化を見送った経緯がある。
-中略-
 都教委幹部は導入の狙いについて「内容はボランティア活動と変わらない。生徒がいろいろな人と交流し、活動を通してより広いものの見方ができるようになることを期待する」と話している。

もちろん、奉仕の心を否定するつもりはないけれど、「奉仕」といえば教育改革国民会議が義務化を見送った通り、「自発的」ということが基本なのは当然です。こういった労働が義務化するということは、軽率に行われるべきものじゃなくて、じっくりと議論されるべきものだと思います。
「たかが奉仕くらいのことで何を大げさなことを言っているのか」とお思いの方もあるかもしれないけれど、私が根本的に心配するのは、既成事実の積み上げによって、しだいに権利と義務が逆転してしまうことです。「奉仕」ということを強制してしまうと、大人に科せられた「教育を受けさせる義務」と子どもの持っている「教育を受ける権利」が変質してしまって、本来守られるべき「教育を受ける権利」が「教育をする権利」へといつの間にかすり替えられてしまう恐れがある。実は、末端の教師の意識の中にはそういったものがすでにしっかりと根を張っていて、子どもの教育を受ける権利は、かなりないがしろにされている。
最近うちにお出でになる方からの教育相談で強く感じるのは、「学校のやり方が非常に乱暴で強引になっている」ということです。守られなければいけない「子どもの権利」と果たさなければいけない「教師の義務」がすっかり逆転してしまって、子どもは義務を課せられ、教師が権利を主張している。
「お宅のお子さんは病気なので集団行動には馴染めません。家庭の責任において学校に来させないでください」
「何をしでかすかわからないので修学旅行には連れて行けません」
「危険なので通学班にはいれられませんから保護者の方が学校まで付き添ってきてください」
などなど、学校が保護者を呼びつけて通告のような形で行われています。
けれども、そう“通告”されたお子さんたちに会ってみると、これが全然そんなことを言われるようなお子さんたちではない。要するに指導力のない教師が指導しきれない子どもたちを家庭の責任という名のもとに投げてしまっている。
どうも学校や教師の力量不足を表に出さないために、それに気づいた勘のいい子どもや親たちを切り捨てる方向に学校が動いているとしか思えない。
保護者は素人ですし、“子どもを人質に取られている”という意識がありますから、学校がそういった行動を起こしたときには、もうなすすべがなくなってしまいます。
基本的に権利があるのは子どもで、義務を負っているのは教師なんだから、それをきちっと意識した上で教育は行われるべきです。
今回の都教委の決定がそれとはまったく逆の方向に進むことを助長するようなことにならなければいいのですが…。

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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