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2019年10月15日 (火)

第110回「安全特区」

5月22日、昨年の夏の甲子園で優勝した常総学院野球部の寮に泥棒が入って、現金6万円と腕時計など17万円相当がなくなったらしい。約60人の部員が生活している11部屋のうち8部屋が荒らされ、28人の現金や腕時計、ダウンジャケットなどが盗まれたという。この日は練習試合で部員全員が朝から夕方まで出かけていて、無人だったのだそうだ。寮の入り口と荒らされた部屋は鍵がかかっていなかった。

 いやいや、ひどいことをする奴がいるよね。一生懸命野球に打ち込んでいる高校生の部屋から金品を盗むなんて。だけどこの泥棒、野球部の事情をけっこう知ってる奴だね。こんなにたくさんの部屋を荒らすにはそれなりの時間がかかったんだろうけど、その間誰も寮に帰ってこないってわかってたわけでしょ? たぶん練習試合だっていうことも知ってたんだろうし、練習試合のときは寮が空になって、途中で誰も帰ってこないっていうことも知ってたんだろうね。さらに施錠がされてないっていうことも…。
たははっ、私が明智小五郎やってもしょうがないね。

 すごくおかしなことなんだけど、こういう事件が起こったときまず最初に非難されるのは、盗んだ奴じゃなくて、盗まれた子どもたちなんだよね。この野球部の部員たちはどうだったんだろう? 親に報告した途端に「おまえ、何で鍵をかけとかなかったんだ! 鍵をかけとかなかったおまえが悪い!」ってね。まさに自己責任論だよね。
だけど、よく考えてみるとどこかおかしい。確かに鍵をかけなかったのはまずかったけど、自分が反省すればいいこと。そのことで怒られることはないよね。
「そういうこともあるから、気をつけないとね」
くらいじゃダメなの?
悪いのは、盗まれた方じゃなくて、盗んだ方なんだから。

 私の実家は40年くらい前まで、和室を囲むように南側と西側に縁側がある和風の建物でした。もちろん縁側には雨戸が付いているけれど、雨戸を開けてしまうと障子だけ。障子に鍵なんてないから、昼間は外から誰だって入れちゃう。それでも泥棒に入られたことなかったからねえ、ずいぶんいい世の中だったんだね。

 真(まこと)が高校のとき、学校のロッカーから金品が盗まれる事件が何件も起きました。でも、その程度のことでは保護者になんの連絡もなくて、子どもたちは、
「施錠していなければ盗まれるのは当たり前だろっ! 盗まれないように自分の責任で管理しろっ!」
って学校から注意されたっていうから、すっかり論理が逆転しちゃってる。
まあ、世の中こんなご時世だから、わからなくはないけれど、せめて学校くらい「安全特区」であってほしい。

 県北のある中学校の総合学習の時間に、池をきれいにしようとして、コンクリートに穴を開けようとしていた子どもたちが、体育の教員に怒られ、校長室に連れて行かれると、校長から「器物損壊だ」と言われ、いきなり殴られた。
一月ほど前に池にヘドロが溜まってとても汚いので、池の一部を壊してきれいな池に生まれ変わらせるという計画書を担任を通して学校に提出してあったという。その計画書には担任をはじめ、管理職の検印があった。

 池をきれいにしようとして、学校の許可をもらって行動しようとした子どもたちが、いきなり校長に殴られたということで、ご両親(お父さんは元中学校の教師)が抗議に行くと、なんと校長は、
「これは器物損壊ですよ、警察を呼んでもいいんですよ。こんな計画書に目を通してないことくらい、お父さんも教員だったんだからわかってるでしょ」
と言ったそうな…
嘘のような本当の話。
残念なことだけど、子どもたちにとって学校っていうところは「危険特区」なのかもね。

 


**5月31日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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