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2019年2月12日 (火)

第78回「学校の規則」

「ダーッ、大変! 7時50分!」
すごい勢いで翔(かける)が起きてきました。いつもなら妻は6時に起きて翔のお弁当を作るのに、さすがに前の晩遅かった(というより寝たのが明け方だった)ために寝過ごしてしまいました。私はというと妻と同じく寝たのが明け方だったので、翔が起きてきたのも気づかずに寝ていました。妻は寝ぼけていて何事が起こったのか、すぐには飲み込めない様子。翔の慌てようにハッと気づいて時計を見ると7時50分。
「大変だあ!」

「家から駅まで自転車、電車を2本乗り継いで、さらに駅から学校まで自転車」の翔は7時10分には家を出ないと8時半の始業に間に合いません。もうとんでもなく遅刻です。ただし授業は9時からなので、授業開始に間に合うか間に合わないか微妙なところ。
「車で送るから」と妻は言うなり、車のキーを持って飛び出しました。翔もあとに続いて飛び出します。(私はまだ寝ていたので、ここまでは妻の話から。タハハッ!)
翔は9月の2学期開始以来、耳の具合が悪くて4日間休んでしまっていました。妻は私立の“厳しさ”を知っているだけにここで遅刻をさせるわけにはいかないという思いがあったのでした。

ちょっと事情があって9月いっぱい私の車を停める自宅の近くの駐車場が借りられていないので、私の車は会社の駐車場に停めてあります。そんなわけで9月中は毎朝浦和の会社まで妻と一緒に出かけているので、目が覚めて妻のいないことに気づいた私は、妻の携帯を鳴らしました。
「どこ?」
「翔を学校まで送ってきたところだよ。今、学校を出たとこ」
「大変だったねえ。あいつ、夜遅くまで起きてるから。まったくしょうがないなあ」
「“寝坊しちゃってごめんね”って謝ったら、“お母さんのせいじゃないよ。僕が起きなかったんだから”だって。まあ、なるべく遅刻しないですむようにと思って学校まで送ったけど、校門のところで部活の先輩見つけたら、昇降口の方へ行かないで反対に先輩の方へ駆け寄って一緒にのろのろ歩いて校舎へ入っていくからさあ。“もう早く行け”ってイライラしたよ」
「“頭髪は耳にかかったら、部活動禁止で床屋に行かせる”“男女交際が発覚したら即退学”なんて言ってる学校が遅刻にはうるさくないのかねえ?」
「校門の辺りに先生がいて、“早くしろ”なんてちょっと頭小突かれたりはするらしいけど、その程度らしいよ。だらしがなくて遅れてくる生徒ってほとんどいないらしい」
「ふーん。運動では全国レベルっていう子が多いから、生徒の行動には一目置いてるのかねえ?」
「まあ、そんなとこなんじゃないの。教師よりもある部分ではずっと能力ある子がたくさんいるわけだから、自主性に任せてるっていうか、怒るんじゃなくて育てるっていうか…」
そんなわけで、ぎりぎり9時に間に合った翔は、それほどひどく怒られることもなくすんだようでした。

そして翌日。
「ったくう!」
毎朝私が仕事に出かける時間は、ちょうど近くにある私立高校の登校の時間と重なります。駅から学校までの線路に沿った道は真っ直ぐで見通しはいいのですが、駅からの距離の3分の1くらいが片側のみ歩車道分離、あとの3分の2くらいはやはり片側のみお義理程度の部分に白線で歩車道の区別をつけています。長女は高校生のころ自転車通学をしていましたが、前から歩いてきた高校生をよけた時に右手を車に引っかけられて軽いけがをしたことがありました。

「また広がってるよ。なんで歩道もあるこんな広いところも車道にはみ出して走ってくるの!?」
「今、校門のとこで教員がメガホン持って通学してくる生徒の方に“遅刻だぞー”って叫んでたから」
「気がつかなかったよ。またやってんだあ。あれっ? 生徒の後ろから自転車に乗った先生がハンドマイクで“急げー!”って叫んでる! 学校って何考えてるんだか…。たかが1分か2分の遅刻をさせないために交通ルールは無視していいのかねえ???そのためにこっちは何度も車停めてんだよ。ここの歩道は広いのに…」

社会のルールを教えるための校則じゃないの?
遅刻指導っていうのはいったい何のためにあるのか、もう一度考えた方がいいような学校っていっぱいあるんじゃないのかあ…。「学校の規則を守らせるために社会のモラルを守らせない」これじゃあどんな大人ができるか恐ろしくなっちゃうよね。そしてそういう指導をしている教員の感覚も恐ろしくなっちゃうね。


**2003年9月16日(火)掲載**
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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