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2019年2月 9日 (土)

第60回「おやじ子育て大学 その2」

土屋埼玉県知事が学長としてのあいさつの中で、「お父さん、お母さん。お子さんと話をしていますか。一緒に食事をしていますか。一緒に遊んでいますか。一緒に笑い、泣いていますか。子どもが健やかに育つには、何よりもまず家庭が大切です。子どもにとって、親のあふれんばかりの愛情がなくては、健全な成長は望めません。今の若い方は知らないでしょうが、昔は、お風呂のある家は少なかったので、家族そろって銭湯に行きました。そこには近所のおじさん、おばさんがたくさんいました。文字どおり裸の近所づきあいがありました。子どもは地域社会のみんなで育てていくものではないでしょうか。みなさんも、もっと気軽に周りの人々に声をかけてみてください」と言っています。

確かにその通りです。けれども、これは実行できません。
「一緒に××していますか」と言われても、そんな時間はどこにもないんです。私の周りにお父さんが亡くなってしまったご家庭が何軒かあります。どこのお宅もお父さんが亡くなっても「何も生活は変わらない」と言っています。皆さん、とてもお子さんをかわいがっていたのですが、関わる時間がなかったのです。

昔風の銭湯などというものはどこにもないですよね。今の銭湯は大人の息抜きの場でしかないんです。そして「家族そろって」という部分にもまやかしがある。私は子どものころ銭湯に通っていた時期がありましたが、銭湯に行くのはいつも母親とで、父親と行った記憶はほとんどない。ここでも父親の存在はなかったのです。もちろん他の男の子たちも女湯に入っていました。私は「何歳までは女湯に入っていいんだろう」なんて考えていたこともありました。幼いころの私には、一人で男湯に入るということがとても大きな冒険であったのをよく覚えています。

25年も主夫をやっていると世の中の動きがとてもよくわかります。25年前のスーパーマーケットには、男性の姿は皆無でした。ところが最近は、かなりの数の男性が買い物に来ています。駅周辺の深夜まで営業しているスーパーマーケットなどでは、むしろ男性客の方が多いくらいです。もちろん主夫が増えたわけではなくて、既婚率の低下などから一人暮らしの男性が増え、男性が買い物に来ると考えられますが、そういうことだけではなくて、ここには男性の意識の変化があると思います。スーパーマーケットに来る男性の数だけを単純に比較したら、おそらく私が主夫を始めたころの数百倍くらいにはなると思います。どう考えても、一人暮らしの男性がそんなに増えたとは思えません。要するに、若い男性はスーパーマーケットで買い物をするということに抵抗がないんです。

これは子育てについても同じです。
PTA活動の中でも「父親不在」がよく話題に上ります。けれどもこれは意識の問題というより、PTAの活動時間と父親の自由な時間が重ならないという物理的な問題です。翔の通っていた中学校は、今年から「機械警備」に代わりました。小学校は私の記憶がはっきりしないほど以前から「機械警備」でした。「機械警備」になるとある一定の時間から後は学校に入ることができなくなります。教職員の勤務時間の問題からすると、当然の成り行きなのかもしれませんが、各地でPTAにおける父親参加が一つの問題になっている時に、夜間(といってもせいぜい7時、8時のレベルですが)の学校使用ができにくいとなると、父親の子育て参加という観点から見て矛盾していませんか。

土曜日の休日化にしても然りです。「家庭に帰す」的な発想があったはずなのに、必ずしも土曜日に父親はいない。あわてて受け皿作りを考える。けれども未だに受け皿は作れないまま、子どもたちは宙ぶらりんにされている。父親の「家庭」に対する意識は着実に変化しています。行政の役割は、父親の意識変革を促すことではなくて、父親が子どもと関われる環境整備をすることなのではないかと感じます。

たぶん、今の若いお父さんたちは子どもと関わる父親の方が「普通の父親」と思っているんじゃないのかな?私なんかは、「父親の子育て参加」をことさらに叫んでいる人たちの方が、子育てに参加していないような気がするんだけど、違ってる?子育てに参加したことのない人たちが、「他人」に子育てに参加”しろ、しろ!”ってあんまり言わない方がいいんじゃないのかな? まるで子どものころ勉強しなかった親が自分の子どもに勉強”しろ、しろ!”って言ってるみたいでみっともない!よね。

次回につづく。次回は土屋知事さんの言っている「地域の問題」と「父親の持っている子育て観」についてです。

**2003年5月12日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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