« 第33回 「ついていい嘘」 | トップページ | 第35回 「たまには塾の話」 »

2019年2月 6日 (水)

第34回 「15歳の北朝鮮少女」

 キム・ヘギョンさんとのインタビューが波紋を呼んでいます。
今朝(28日)TVを見ていたら、コメンテーターが「確かにふさわしくない質問もあったかもしれないが、そういうところをカットしてON・AIRすればいいんで…」という 発言をしていました。私はどうしてもそういう気持ちにはなれません。「ON・AIRするかしないかじゃないくて、聞いてしまったことが問題なのに」という気持ちで見ていました。

 「これは北朝鮮の策略だ」とか「滞在延長を決めた5人へのメッセージだ」(家族会の方の中にはこの立場をとっている方もいるようです)という見方も強く、キム・ヘギョンさん自身の気持ちや人権を問題にしているのではなく、「北朝鮮政府に言わされているのだからそういう北朝鮮政府のメッセージを流したことは問題だ」と多くのコメンテーターは言っているようです。

 今回の拉致被害者の一時帰国に端を発した出来事が、今後の日朝交渉を有利に進めようとする北朝鮮の駆け引きであることは間違いないでしょう。けれども、そのことと15歳の少女を政治的な駆け引きの場に引きずり出した上に、答えに窮するような質問をすることは、別な次元の問題です。

 一部のコメンテーターは、北朝鮮がインタビューをさせたという見方をしていて、少女を政治的に利用した北朝鮮を強く非難していました。けれども、フジテレビの話を聞いていると、今回のインタビューはフジテレビ、朝日新聞、毎日新聞という日本のマスコミが主導して行われている。何度もそのことをフジテレビは言っているのに、コメンテーターたちは、まったくそのことには耳を傾けない。

 私はそういった政治的、イデオロギー的なものをすべて除いて今回のインタビューについて考えたときに初めて、「15歳の少女に対するインタビュー」ということの問題点が見えてくると思います。フジテレビの中継車の中でインタビューのVTRを初めて見た横田早紀江さん(キム・ヘギョンさんのおばあさん)は、「見ているのがつらい」とおっしゃって、途中で席を立ってしまわれたと報道されています。複雑な気持ちでおられるのでしょうから、どういうお気持ちで席をお立ちになったのかを正しく推測することは困難ですけれども、もし私の孫だったら、やはり同じようにいたたまれない気持ちになったであろうことは、容易に想像がつきます。

 私もON・AIRされたインタビューを見ましたが、このインタビューで一番強く感じたことは、「これは15歳の少女に対する虐待だ」ということです。

 彼女が15歳とは思えぬほどしっかりしていると感じたのは私だけではないと思います。けれども、しっかりしているから何を聞いてもいいということにはなりません。15歳という何も知らない少女に対し、尋ねていいことと尋ねてはいけないことがあるということは、マスコミも充分に知っているはずです。

 「今回のインタビューには問題はあったかもしれませんが、話の中からまた新たな疑惑が浮かんできたという点で意義はあったと思います」というくだらない発言をしたコメンテーターがいました。ひとりの少女の人権ということにすら配慮できない人間に、拉致という人権侵害をとやかく言えるのかと、とても腹が立ちました。

 子育てという観点でいえば、今回のインタビューが、北朝鮮の責任なのかあるいは日本のマスコミの責任なのか、ということはどうでもいいことです。子どもを育てるものとして、今回のようなインタビューが、たとえどんなに政治的な解決を早めるものだとしても、「子どもの人権だけは犯さないでほしい」と強く感じました。

 「子どもの人権を守ること」まさにそのことが現代の政治に大きな課題なのですから…。

※浦和教育カウンセリング研究所(その後「浦和カウンセリング研究所」に改名)を立ち上げました。学校やPTAでのトラブル、いじめや不登校のことなど、ご相談のある方は048-825-5551までお電話ください。

**10月29日(火)掲載**

|

« 第33回 「ついていい嘘」 | トップページ | 第35回 「たまには塾の話」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第34回 「15歳の北朝鮮少女」:

« 第33回 「ついていい嘘」 | トップページ | 第35回 「たまには塾の話」 »