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2019年2月 9日 (土)

第56回「校庭の開放」

「ピッチャー投げました」
「バッター打ちました」
「これは大きい! 大きい、大きい! 大きい、大きい! フェンスを越えました!」
その途端、『ガチャーン!』
「わーっ、やばいよ!」
「どうする?」
「しょうがないよ。みんなで謝りに行こうよ」
先日、ドン・キホーテの近くを通ったら、子どもの頃のこんなシーンを思い出しました。
私が子どもの頃、今はドン・キホーテになっているところのすぐ近くに、ちょっとした空き地があって、よくそこで野球をしていました。野球といってもゴムボールを使ってやってる三角ベースのたわいのないものだけれど、そんなに広いところじゃないので、すぐに塀を飛び越えて、どこかのお宅に飛び込んでしまうわけ。もう35年くらい前の話だから、そこにあるお宅もただのトタンの塀で、ガラスが割れたりしなければ、どんどん入っていってボールを取ってくることはできました。けれどもガラスを割っちゃったとなると、ボールだけ取ってくるわけにもいかなくて、この時はきちんとみんなで謝りました。
でも今考えると、弁償した覚えがないなあ???
年齢が大きくなると、そこの空き地では収まらなくなって、だんだん小学校の校庭で遊ぶようになりました。
私が子どもの頃は、夏はソフトボール、冬はサッカーという季節によっての棲み分けができていました。

「ほら、俺がノックしてやるから、みんなあっち行って取れよ」
時にはラーメン屋のお兄さん、時には小学校の用務員さん(今は校務員さんとかいうけど)が、相手をしてくれました。日曜日は、一人で学校に行っても遊び相手に困ることはありませんでした。子ども同士でぶつかって、鼻血を出しちゃうなんていうこともしょっちゅうありました。もちろん休みの日は保健室なんて入れないので、
「おい、だれかティッシュ!」
なんて言って、鼻にティッシュを詰めて、しばらくじっとしていたものでした。

「このごろさあ、パンダ公園危なくて…」
子どもを二人連れて、近くの公園(小学校の正門の真ん前で、パンダの遊具があるのでパンダ公園と言っています)によく遊びに行く麻耶(まや)が言います。
「なんで?」
「小学生がサッカーやってるんだよ。すごい勢いで走ってきたり、ボールが飛んできたり…。蓮(れん)の他にもやっと歩き出したくらいの子が4、5人はいるんだけど、みんなお母さんがピリピリしてるよ。あんまりひどいから、『ここは小さい子が遊ぶための公園だからボール遊びはやめて』って言ってやった。『はい、はい』とか言ってその時はちょっとおとなしくなるんだけど、5分も経たないうちに元に戻っちゃうんだよ。なんで学校でやらないんだろうねえ?」
「日曜日だから、大人のソフトボールと少年野球で校庭を使っちゃってるんだよ」
「普通の小学生が使えないの変だよねえ。自分の学校なのに…」
これは、以前からずっと問題になっていて、私が小学校のPTA会長をしている時も、校長先生とずいぶんお話をしました。地域への開放が進む小学校は、今では子どもの遊び場というより、大人の遊び場と化しています。うちの地域では、学区内にあるのは幼児が遊ぶための公園が二つだけ。その一つがパンダ公園で、実はそこも半分はゲートボールで使われているのです。
そんな麻耶との会話があって数日後、中学校のPTAの人たちと話をしていた時のこと。
「うちの息子がさあ、小学校の校庭で遊んでたらここで遊んじゃいけないって校務員さんに怒られちゃったんだって。許可をもらってからじゃないとダメだって。もう高校生だからさあ、小学生にケガさせちゃいけないからしかたないとは思うけど、卒業生が校庭の隅の方でちょっとボール蹴るくらいでもダメなのかなあ…」
「違う違う。小学生でもいけないんだよ。土・日は校庭で遊んじゃいけないことになってるし、平日でもいったん学校から家に帰ったら、もう校庭で遊んじゃいけないの。ウチの子なんかそれで怒られたんだから」
これにはビックリ!
いったい誰のための、なんのための学校なんだろう???
今日も小学校の校庭では、ちゃんと許可をもらった大人たちがソフトボールをしていました。

**2003年4月14日(月)掲載**

※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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