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2019年2月12日 (火)

第77回「叱り方」

「久しぶりの買い物だねえ。もう10年くらい来てないような気がする」
「ほんとねえ。あなたはここがホームグランドでしょ?」
「そうそう。なんかやっぱりこうやって買い物してると落ち着く。25年もずっとこうしてきたからねえ、こうしてることが普通だもん。買い物してるとやっと自分に戻った気がする。今日はいっぱい買っちゃおうかなあ」

前回も書いたとおり、ここ2ヶ月というもの会社のことが忙しくて、まともな時間に帰ったことがない状態。帰りは毎晩(というか毎朝)2時か3時。その間ウチで食事をすることは全くなくて、外食かコンビニのお弁当。買い物をするっていうことがこんなに気持ちが落ち着いて、幸福を感じるとはね。やっぱり私は根っからの主夫なのかも…。たった2ヶ月が10年に感じるなんて…。

「今晩はカレーにしようか、お刺身にしようか」なんてことを考えながら、幸せな気分で買い物をしていたら、ちょっとコスプレ風の女性が入ってきました。かなりのフレアなミニスカートなので、目を引きます。さらに1歳くらいの子が乗ったベビーカーを押していました。私の近くで買い物をしていたのでしばらく見ていましたが、お母さんはずっと眉間にしわを寄せていて、私のように幸せな気分で買い物をしているようには見えません。そこへお父さんらしき人が合流しました。お母さんのコスプレ風の格好とはまったく正反対の格好のお父さんです。ちょっと不似合いな感じはしましたが、近くに寄ってきたお父さんを見て、お母さんがニコッとしました。

そのあと、私は幸せな気分で買い物を続けました。カレーにしようかお刺身にしようか迷ったあげく、ますます幸せな気分で半額になったお刺身をたくさん買って、カレーは明日にすることにしました。「ちょっと高いけどこのカマンベールも買っちゃおうかなあ。ヨーグルトもこっちの高い方にしちゃおっ」なんていう調子でどんどん買い込んじゃいました。

レジに並んでいると突然後ろの方から赤ちゃんの泣き声が…。買い物をしている間に見かけた子どもは、さっきのコスプレ風のお母さんが押していたベビーカーの子だけ。かなり激しい調子で泣くので、「さっきの子かな?」と思って後ろを振り返ると、ちょうどその瞬間すごい勢いでお母さんが子どもを叩きました。

思わず目を覆いたくなるような瞬間でした。買い物したものをお父さんが袋に詰めている間、お母さんと子どもが出口の近くで待っている様子です。子どもは叩かれることに慣れているらしく、まるで叩かれることが合図のようにピタッと泣きやみました。
「子どもが叩かれるところを見るのはいやだね」
妻が言いました。
「そうだね。今なんてそんなに長く泣いてたわけじゃないし、もう出口のところにいたんだから、ちょっと外へでも出ればよかったのに」

買い物をしている様子にはそんなにせっぱ詰まった様子は感じませんでしたけれど、また逆に叩かなくてすむよう機転を利かす余裕があるようにも映りませんでした。「お母さんが袋に詰めて、お父さんが子どもを見てればよかったのになあ」ちょっとそんなことを感じながら、私はレジを通りました。こんな時は怒らないで、もっと「優しい叱り方」ができたらいいのになあ…。


**2003年9月8日(月)掲載**
※カテゴリー「子育てはお好き? ー専業主夫の子育て談義ー」は、2002年より2012年までの10年間、タウン情報サイト「マイタウンさいたま」(さいたま商工会議所運営)に掲載されたものですが、「もう読めないんですか?」という読者のご要望にお応えして、転載したものです。

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