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2019年2月 6日 (水)

第28回 「やっぱりビリ!」

 ”ドーン、ドドーン、ドドドドドドーン”

 昨日の朝、6時、そんな音が響き渡りました。久しぶりに聞く、花火の音です。どこかで運動会が行われるようです。そう言えば、私の子どもの頃って、運動会の日は必ず6時に花火が上がったものでしたけど、最近はあんまり花火の音、聞きませんねえ。私の住んでいる地域だけかなあ??? 今住んでいるところは、けっこう駅に近くて家は密集してるし、地域は狭い(ウチの子どもの通った小学校は学区の中に信号がない)のにそれでいて大きな団地があるために小学校2校、中学校1校、自治会が3つあるから、もし花火を上げるってなると、この時期の日曜日(今年から学校の運動会は土曜日になりましたけど)は毎週必ず花火が上がることになっちゃうので、それで止めたんですかねえ???

 子どもの頃は、運動会の当日はその花火が上がるのをじっと待っていたものです。その時の緊張感って、なんとも言えないものがあって、ドキドキするっていうのとも違うんですけど、ちょっと気持ちが”ピリッ”とするんですよね。ただこれは、私がたまたま足が速かったからで、ウチの子どもたち(誰ひとり足の速い子はいなくて、いつもビリ争いをしている)に言わせると、”雨が降らないかなあ”ということになるらしいんですけどね。そう言えば、私はプールがあまり好きじゃなかったので、プールの日になると”雨が降らないかなあ”なんて思ってましたもんね。運動会の緊張と興奮を”だれしもが好きだ”なんて考えちゃいけないんですよね。

 今年の運動会(もうウチの子どもは中学生なので体育祭でしたけど)も、やっぱりウチの子どもはビリでした。前回書いた叔父が、まさに前回のその原稿を打っている瞬間に息を引き取ってしまったので、先週の土曜日は、子どもの運動会と告別式が重なってしまいました。私はPTA会長をしているため運動会を外すことができないので、私が運動会、妻が告別式ということになりました。

 さて、どういう風に決めたのか、足の遅い翔(かける)が200m走に出ることになったのですが、翔が言うには”6人中、僕だけが遅くて、あとの5人は学年で早い方から5人選んだような子たちだよ”ということでした。200m走最後のレース。スタートライに立った子どもたちの顔ぶれを見てビックリ!言われていたとはいえ、確かに私の記憶では特別に早い子ばかりを集めたような(運動会最後の呼び物、リレーのときはウチの子を除いた全員がアンカーをやっていました)集団です。

 スタートするなり、5人が団子になって前へ、そしてウチの子だけがひとり後ろに取り残されるという状況です。中学でも最上級学年ですから、その迫力にはすごいものがあります。もちろんその差はどんどん広がってゴールへ。”あ~あ”というより、”カハハッ!”と笑っちゃうような結果でした。

 すぐに妻にメールで、”6人で走って翔はだんとつビリだったよ” と送ったら、”ちょっと可愛そうだね。たぶんいつも一番の人にはわからないだろうけど。でも翔にはそれも栄養にできる力を、あなたがつけておいてくれてあるよ。” と返ってきました。突然、翔の組の応援団が翔の方を向いて、”大関に敬礼!” と大きな声で三回叫びながら、敬礼をしました。”この5人と一緒に走った大関は、よくやった” そんな雰囲気がグラウンド全体に漂いました。

 ”まあ、こういう経験もいいかな”一番もいれば、ビリもいる。そしてそのビリを一生懸命励ましてくれる子どもたちがいる。そんな暖かさの中で育っている翔をとても幸せに思った瞬間でした。家に帰ってきた翔は、「けっこうがんばったでしょ? 思ったより差が開かなかったよね」と興奮気味に話しました。おいおい! 充分差は開いていたんだよ、翔。

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