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2007年3月31日 (土)

「日本の親と中国・韓国の親 その2」

(今回の内容も、「子育てはお好き? 専業主夫の子育て談義と同様のもです)

さて、前回の調査です。
「日本青少年研究所」は、1975年設立の団体で、青少年の意識調査、国際交流、さまざまなコンクールなどを行っています。所長は教育畑の出身の方ではなく、検事出身の千石保氏で、設立時から現在まで、ずっと所長を務めています。大変多くの大企業から協賛を受けており、これまでの調査でも、客観的とは言えないような、かなり大企業に都合のいい調査結果を発表してきています。
日本青少年研究所が調査の目的を発表していますので、ちょっと長くなりますが、ご紹介します。
「中国の北京、韓国のソウル、それに日本の東京は、3ヶ国の首都である。それぞれの小学4・5・6年生を対象にする調査は、これまでに実施されたことはない。
北京の子どもたちは、勉強漬けで大変な毎日を送っている、と伝え聞く。またソウルの子どもたちも、日本以上に激しい受験勉強を戦っているという。なにしろ、親の厳しさは、とても日本の比ではないとも言われている。
もっとも日本の小学生たちも例外ではないらしい。小学生たちは、とても忙しいといわれている。子どもが忙しいとは、どんなことなのか、大人にはよく分からないものがある。子どもの忙しさは、なんとなく勉強をめぐってのことと想像できるものの、不透明である。
次の時代を引き継ぐ子どもたちの日常生活を掴んでおくことは、大人たちの責任だろう。やがてどんな社会になるのか、どんな子どもに育てるかは、基本的な生活習慣がはっきりしないため、調査する必要がある。
子どもたちは、大きくなったら、どんな人間になりたいと思っているのか。仲好しの友達がいるのか。学校外ではどれほど勉強しているのか。放課後や休み時間は何をしているのか。
日本では、親と先生の権威がとても低下したといわれている。親と先生の関係はどうなのか。頑張ろうという気持ちがどれほどあるのか。物事に対する「やる気」はどうなのか。親のしつけは、時代とともに変わっているのか。しつけの理念というものがあるのだろうか。食べるのに困らない時代のしつけは、どんな目的があるのか。
こういったことを想像してみると、不透明さが次第にふくらんでくる。
まず、生活習慣の調査からはじめねばならない。起床時間、就寝時間、食事や生活習慣、親のしつけ、家事の手伝いなど子どもたちの日常生活の実態を把握するのはこの調査の目的である。」
これを読んだとき、ちょっと私の中に驚きが広がりました。
「この日本青少年研究所というのは、民? それとも官?」というような驚きです。前回、ご紹介した産経新聞の記事を読んだとき、財団法人としか冠が付いていないので、民間の研究機関かなあとは思ったのですが、産経新聞の記事の書きっぷり(「調査報告書で分かった」とか「家庭での教育力の低さが浮き彫りになっている」)から、民間だとしても当然何か学術的に調査をしているところなんだろうと想像しました。
ところが、この目的を読んでみると、なんだか最初から前提があるように感じる。小さな規模ではありますけれど、私も何度かアンケートを採ろうと思って、アンケートの案を作ったことがあります。一番気をつけるのは、自分が描いた目標に対し「誰に対して、どのような内容のアンケートを実施したら、より正確な結果が得られるか」ということです。そのあと、アンケートの結果をふまえ何かをやろうとすればなおさらのこと、内容を丁寧に精査します。
ところが、今回の日本青少年研究所の調査は、どうもその辺から、乱暴に見える。冒頭の「中国の北京、韓国のソウル、それに日本の東京は、3ヶ国の首都である。それぞれの小学4・5・6年生を対象にする調査は、これまでに実施されたことはない」というあたり、子どもの生活を比較するのに、なぜ中国、韓国、日本なのかが見えてこないし、あたかも国際的な比較のような雰囲気を醸し出してはいるのに、それぞれの首都の子どもたちを選んだことが、どうしてその国を代表する一般的な子どもたちを選んだことになるのかの説明もない。この目的だけを読んだだけでは、わかりにくいかもしれませんが、研究所の「最近の日本の親は、親と子は別個の存在と考える米国型の価値観に変化してきているため、子供に注意をしないのではないか」というコメントと合わせて読むと、疑問がふくらみます。米国の子どもが標本にないにもかかわらず、「日本の親は米国型価値観」と決めつけている。
また、今回の調査は、昔のデータは含まれないのに「日本では、親と先生の権威がとても低下したといわれている」「親のしつけは、時代とともに変わっているのか」と時代の流れにより変化したという日本の状況だけを取り上げ強調することで、中国、韓国に比べ、日本は「親と教師の権威の低下している」「しつけがあまい」ということを引き出そうという意図が見えます。
こんなふうに子どもたちに対する調査が進められていて、それがいかにも客観的事実であるかのようにマスコミを通して報道されている現実に、驚くとともに怖さを感じました。

前提をきっちり把握してもらいたくて、またまた、引用が長くなり、具体的内容まで入れませんでした。
次回こそ、内容を細かく見ていきます。

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